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2010/11/30 デジタルハリウッド大学 
近未来教育フォーラム2010 

日時: 2010年11月30日(火) 13:00〜18:30
会場:富士ソフトアキバプラザ アキバホール

 
■ 基調講演
 『デジタルコミュニケーション時代の人材育成』
  伊藤学司氏(文部科学省大臣官房企画官・鈴木覚副大臣室          担当)
  宋文洲氏(ソフトブレーン(株)マネージメント・アドバイザー)
  杉山知之氏(デジタルハリウッド大学学長 工学博士)

2010年11月30日13時から、デジタルハリウッド大学・大学院および専門スクールの主催による「近未来教育フォーラム2010」が、富士ソフトアキバプラザのセミナールームで開催されました。
同フォーラムは、13:00〜14:30の基調講演『デジタルコミュニケーション時代の人材教育』は、パネラーとして鈴木覚文部科学副大臣の代理である伊藤学司氏(文部科学省大臣官房企画官・鈴木覚副大臣室担当)、宋文洲氏(ソフトブレーン梶@マネージメント・アドバイザー)、モデレータとして杉山知之氏(デジタルハリウッド大学学長 工学博士)で、次世代の教育と社会とのかかわりについて活発な議論が行われました。また当初パネラーとして参加予定であった石井登志郎氏(衆議院議員 民主党幹事長補佐)もビデオレターで行政から見た問題意識を述べられ、議論が深まりました。

 まず「日本の大学の現状」について、日本の大学は高等教育機関として、独自の方法でかなり自由に教育を行ってそれなりの成果は挙げているが、一方社会に役に立つ人材の供給という意味では不十分ではないか、少子化の中で大学の淘汰も避けて通れない、との意見が出され、国際競争の中での世界ランキングの順位低下も危惧された。しかし個別分野で見れば、日本の大学の優位性が保たれている分野も多く、アジアの中産階級の増加とも相まって最近アジアからの留学生の増加が著しくすでに国家目標をクリアしており、この増加が日本人学生にも刺激となっていて、異文化を取り入れるのが苦手であった日本の大学の改革にも繋がっていくことを期待したい。 「英語教育の必要性」については、インターネット上の有用な情報の70%は、英語で書かれているため、これからの教育における英語教育は極めて重要なものの、最近の学生は会話力は若干向上しているものの従来の受験教育で培われた読解力の低下が著しいとの指摘があり、英語の習得にあたっては個々人への動機づけが重要で、デジハリ大の留学制度などが紹介され、いくつかの成功事例の要因についての議論が行われた。

「日本の高等教育に足りないものは」については、登壇者全員がプロデューサ教育を取り上げ、プロデューサ教育はエリート教育・リーダー教育などにも通じるもので、一つの専門分野を深めていく戦後の高等教育では、幅広い知識と教養に裏打ちされたリーダーは育ちにくいことが指摘された。

「人材育成のカギは意識改革」ということでは、戦後の高等教育を受けてたわれわれがまず意識改革を行い、偏差値や知名度や有名企業就職率といった評価尺度にとらわれず、子供たちが自由に自分の好きな道を選ぶことができること、ある程度の競争や格差はあるのは当たり前でむしろ歓迎すべきである、というように発想を変えることが急務であると指摘された。

■ 特別対談、セッション

 14:45〜15:30からは、『デジタル時代に求められるビジネススタイル「プロデュース」とその能力開発』をテーマとして、吉田就彦氏(デジタルハリウッド大学大学院教授/梶@ヒットコンテンツ研究所 代表取締役社長)と橘・フクシマ・咲江氏(G&S Global Advisors Inc.代表取締役社長/コーン・フェリー・インターナショナル(株)アジア・パシフィック地域 最高顧問)の対談形式により行われた。
まず、吉田氏より、大ヒットを生んだコンテンツ・プロデューサーのEQ(情動指数、Emotionally Intelligence Quotient)能力及びEQ行動特性から、プロデューサーに必要とされる特徴的な能力が特定できたこと、またその必要とされる能力とは「ストレス耐性」「ノンバーバル(非言語的)スキル」「対人問題解決能力」「状況モニタリング能力」「情緒的感受性」が高く、「感情的被影響性」が低いことが必要であるとの講演となった。
 それを受け「これからのビジネスパーソンに求められるもの」「海外で活躍できるビジネスパーソン像」について、人財開発の有識者である橘氏から、グローバル化して海外で活躍するためには、プロデュース能力が必要不可欠ということを講演いただきました。
そして、プロデュース能力を高めるためには、仕事に新たな付加価値をつけることを模索すること、失敗から学ぶ姿勢が重要であり、自立的でありながらも周囲の多様性を認めながら(相手に敬意を払いながら)仕事を行っていくことが重要である、と方向性を示されました。

 15:45から行われたセッション3:産学協同研究『スクールPad構想』では、「電子書籍を活用した教育スタイル研究会」の取り組みが、栗谷幸助氏(デジタルハリウッド大学講師)と、はが弘明氏(潟fジタルナレッジ代表取締役)及び阿部勝孝氏(潟{ーンデジタル/潟潤[クスコーポレーション)により紹介されました。
 デジタルハリウッド大学では技術の発展に伴い学ぶべきカリキュラムが増えたため、基礎スキル習得や本来時間をかけるべきWebデザインなどの学習時間の不足を初め、受講生のレベルのばらつき、教材であるソフトのバージョンアップへの対応、製本のコストや在庫管理などの課題をかかえており、本研究会の試みはこれらデジタルハリウッド大学が抱える課題を電子書籍によって解決しようとするもので、教科書の電子書籍化により、動画教材や授業の録画などを自宅でも活用できることで、学習時間の不足や受講生の理解度のレベルのばらつきなどへの有効な対策となることが期待できます。
 またこの取り組みには出版社である『ワークス』とe-ラーニングの『デジタルナレッジ』がそれぞれの立場から連携・協力を行っています。
 出版社であるワークスでは、動画とのリンクが容易な電子書籍の特性をWeb関係の書籍に活かすノウハウを得ることや在庫や製本問題の解決策としての電子書籍を研究しようと、主として教材の電子書籍化を担当。Eラーニングの「デジタルナレッジ」も現場の授業をeラーニングで支援するノウハウを得るべく、LMSの部分を担当しています。
 研究会ではデジタルコンテンツクリエイター教育に最適な電子書籍のあり方を様々な面から検証するために、研究会での検討を元に制作された電子教科書を使って来年1月から電子書籍を使った授業を1部の希望する学生に行うとのことです。
 この実証実験によってどのような知見が得られ、電子書籍教科書に活かされていくのか楽しみです。


このセッションのほか、
セッション1
「世界とつながるデジタルハリウッド流英語教育〜旧態依然とした英語教育からの脱却〜」
セッション2
「デジタルハリウッド大学の教育改革〜全員参加型授業と継続的教育改善のためのFD技術〜」
セッション4
「電子書籍は儲かるのか!?新出版ビジネス奮闘の今と未来」
セッション5
「メッセージデザイン時代の教育手法」
セッション6
「ただつぶやくだけでは意味がない!〜デジタル時代における企業と消費者とのコミュニケーションとは!?〜」
セッション7
「アニメクリエイターに未来はあるのか?〜変われないアニメ産業にデジタル化がもたらすものとは?〜」
など、デジタルハリウッド大学ならではの視点でのセッションが行われ、どのセッションも多くの聴衆でにぎわっていました。

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