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  第42回アキバテクノクラブ交流会を開催しました
  (共催:秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会)


ご講演

■ 欧州の携帯電話通信方式GSMが普及したカラクリ?!

 日本は「科学技術大国ではあるが、科学技術立国ではない」と語られる妹尾先生より、最近の交流会の基本テーマであるオープンイノベーションシリーズの一環として、国際標準化がご専門の兵庫県立大学経営学部准教授 立本博文氏に中国の携帯市場で勝てたヨーロッパのからくりなどをお話いただく旨ご紹介があり、「国際標準化とコア技術管理:GSMの中国導入の事例」というご講演タイトルのもと6月の交流会もスタート致しました。
 携帯電話の事例では、韓国や台湾、中国などの新興国企業が競争力を得ている中で、技術・標準開発に貢献した日本企業の国際競争力が弱くなっているとのことで、開発された技術のどこをオープン化してどこをクローズ化するかについて、日本企業の戦略はインテル型のオープン化戦略を取ったヨーロッパ企業の戦略に比べて、全く見劣りするものであったとのことです。
 具体的には携帯電話の場合、市場は携帯電話機の端末市場と基地局設備と交換機によるインフラ市場によって構成されているが、ヨーロッパ企業は携帯電話の端末市場の技術と製造方法をすべてオープン化とパッケージ化し、インフラ市場はクローズ化するという戦略のなかインフラ市場で基地局と交換機をフルターンキー方式で受注拡大したのに対し、日本企業は小型組み込み型が得意ということで端末市場に進出する戦略をとり、当初はヨーロッパ市場で大きなシェアを占めたものの、オープン化による新興国企業の新規参入、安値攻勢、そして新興国企業の保護育成政策の前に、新興国市場のシェアを奪われて、ヨーロッパ市場も新興国製品が出回ることでシェアを失い、結局国際競争力がなくなってしまったとのことで、それ以外のDVDや液晶パネル、太陽光発電用パネルなどの最新ICT製品群でも同様なことが起きている、とのショッキングな現実を報告されました。

 その様な中、デジタル携帯電話世代で、現在、最も普及している欧州の通信方式GSMが標準規格競争で中国に採用され、欧州の通信設備企業が提供するプラットフォームを用いて、世界最大のオペレータである中国移動通信が1995年という早い時期にデジタル移動通信サービスを立ち上げることが可能となったそうです。
  そして、中国市場にGSMが導入されて10年以上が経過しているにもかかわらず、欧州企業の基地局市場における競争力は依然高い状況だそうです。
  中国のGSM標準の導入によって、便益がもたらされたのは、中国のエンドユーザーと中国のオペレータと中国の携帯端末メーカと欧州の通信設備メーカであり、欧米企業にロックインされた中国の通信設備メーカは、海外市場と新規格(3G)に活路を見出しているそうです。
  標準化は国際競争力を得るうえで、避けられない課題でもありチャンスでもあるのですね。

(写真をクリックしていただくと会場の様子がご覧いただけます)

トークセッション

■ 国際競争力が重要!

 ご講演後のトークセッションでは、技術が普及するカラクリで重要なのは、国内競争力でなく、国際競争力であると妹尾先生も解説され、また、「オープンイノベーション」のオープンの定義が、各省庁によっても違うが、自社の技術だけでなく他社の技術も取り入れようとする「オープンインベンション」と解釈している省庁もあり、国内市場と産業に視点を置いた議論になりがちな産業政策論争に警鐘を鳴らされました。
 また技術開発の成果をその後の製品化、普及テンポ、先進国市場と新興国市場の特性をよく検討した上で、ビジネスモデルとしてオープン化する部分とクローズ化する部分を明確に区分して、新興国企業に技術移転する部分と自国で利益を継続的に挙げられる部分を分けて戦略を考え標準化を進めることが、欧米企業の考えているオープンネットワークの本当の意味である、と立本先生も解説されました。
 トークは電気自動車についても及び、電池の技術があるから日本は勝てるということに対しては疑問で、電池と他の部品のインターフェイスプロトコルを抑えるのが重要で、欧米企業はその仕掛けを行おうとしていると指摘する妹尾先生に対し、立本先生もコアネットワークは部品メーカー(たとえばパナソニック)でなく完成品メーカー(たとえばトヨタ)が中心となっているため、完成品メーカーが市場で圧倒的シェアを持たないと日本企業は勝てないと解説されました。
 そして最後に、新興国と先進国が分業しながら、双方がwinwinの関係で連携するパートナーシップとなることが望ましく、日本の科学技術を活用するモデルは科学技術だけでは済まなくなってきており、科学技術があるのにその先の大きな世界市場が見えいてない日本企業に対して、「アキバを中心に大きな視野を持って国際競争力のある製品を生み出し我が国経済の活性化を!」と期待の言葉を頂戴いたしました。

(写真をクリックしていただくとトークセッションの様子がご覧いただけます)

懇親会
■行列のできる懇親会?!

 アキバへの期待の言葉を頂戴したところで講演会場の12F首都大学東京会議室を後にして、5F産学交流ゾーンへへ移動して、懇親会スタートです。
 トークセッションが続くかのように、立本先生の前には名刺交換の行列ができ、お一人ずつ丁寧に議論を交わしながら親睦を図っていただきました。
 来月7月の懇親会は暑気払いバージョンですので、みなさまお誘い合わせの上、ぜひご参加ください!

(写真をクリックしていただくとPRタイムの様子がご覧いただけます)
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