『Googleのデザイン
+ HTML5的試み』
川島 優志氏
〔グーグル株式会社 Senior Web Master〕
■ 心理学的デザイン?!
今回の講師である川島氏は、早稲田大学第一文学部を10単位の取得で中退、趣味はポーカー、という自己紹介からスタートしました。会場に一抹の不安が流れる中、実はアメリカ人の長者番付トップ5の80%が大学中退者であり、特にIT系には多く、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブス(Apple創業者)やマイケル・デル(Dell創業者)なども大学を中退していて、しかも、番付の計400人の趣味は突出してポーカーが多い!という雑誌Forbsの2006年の調査結果を基に、すっかり参加者の心を掴まれていました。
実はこれも心理学のフレーミング効果で、論理的には同じであっても、表現や状況の違いによりその心理的な解釈の枠(フレーム)が違う結果をもたらすそうです。
もちろん大学中退後、ロサンゼルスで8年Webデザインの勉強をされ、2007年グーグルにWeb
Masterとして入社し、2008年にはアメリカ人以外で初のロゴデザイナーとなり、現在は、Senior
Web Masterでアジア・太平洋地域のマネージャーという立場で大活躍されています。
Webデザインはデザインの勉強の延長ではなく、全く新しいものだと考えているそうです。グーグルには大量のアクセスデータがあり、想像を超えるユーザーの挙動から、直感でかっこいいと思うデザインは、ユーザーに対して効果的でないことが多いため、川島氏は、ヒューリスティック(heuristic:ある程度のレベルで正解に近い行動)やアンカリング効果(Anchoring:最初の印象を重視する)など心理学や行動学を研究し、デザインに活かされているそうです。
実際にグーグルの「広告ソリューション」のページの作り方も、グーグルのサービス以外を使う選択肢のないアメリカでは"sign
up now"ボタンを上方に配置したが、Yahooジャパンのような競合相手の多い日本では、営業イメージが前面に出ない様に、説明文の後の下方に「登録(無料)」ボタンを配置変換することで、登録数が30%増加したそうです。これも、ボタンの位置によって心理的に与える影響が大きいことを示した例でした。
(写真をクリックしていただくとご講演の様子がご覧いただけます)
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