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  第1回アキバテクノクラブオープンセミナーを開催しました。
  (共催:産業技術総合研究所/アキバテクノクラブ)


ご講演の様子

2011/4/28 第1回アキバテクノクラブ オープンセミナー

 『産業技術総合研究所 秋葉原支所成果報告会 』

 今年度第1回目のアキバテクノクラブオープンセミナーは、 産業技術総合研究所と共催にて、 6年間アキバテクノクラブメンバーとして活躍された産業技術総合研究所のアキバでの輝かしい成果の報告会となりました。秋葉原サイト→秋葉原事業所→秋葉原支所と名称の変遷を辿りながらも、アキバでの役割と地の利を活かした研究活動の数々をご紹介いただきました。
(総合司会:情報技術研究部門 伊藤 智氏)

<モデレーター>
妹尾堅一郎氏      
  〔東京大学大特任教授、NPO産学連携推進機構理事長〕 

■「秋葉原サイトでの活動を振り返って」    
  情報技術研究部門 研究部門長 関口 智嗣氏


 まず最初に情報通信・エレクトロニクス分野から、情報技術研究部門の関口部門長より、研究拠点としてのアキバでの設立経緯および成果報告についてご説明いただきました。

 2005年のまさにグリッドの時代から期待に満ちて秋葉原サイトが研究拠点として開設されたが、なぜ秋葉原だったのか?その理由は、研究の産地である「つくば」に対して、「アキバ」はアイデアを商う場であり、優秀な人材の確保もしやすく、社会の接点として第二種基礎研究も行える場として評価されたからだそうです。実際に、利便性を活用したソフト開発や、大手町にも近くネットワーク環境に恵まれ、海外からも秋葉原には集客できる魅力があり、国際連携の集積もできたとの成果報告がなされました。

 アキバテクノクラブメンバーとも異業種交流を行った結果、クラウドのSaaS(サービス型ソフトウェア)と同様の考え方である「Grid Asp」を活用した計算システムについて鹿島とも共同研究を行うなど、メンバーとの数十件に及ぶ共同研究契約の一部を産総研×アキバとして、産総研の中でもアキバからの情報発信事例として紹介されました。
 
 その他、1km圏にNTT、KDDI、NICTなど産学官の超高性能ネットワークハブがあり、学術系や商用インターネットへつながっている地の利を活用して、NIIや東工大との文科省関係プロジェクトや、ビジネスグリッドコンピューティングなど経産省関係のプロジェクトなど、いろいろな形で研究をアピールできたことも成果として紹介されました。

 この様に多くの成果を残しながらも、残念ながら今年の3月で秋葉原から撤退された産総研ですが、アキバテクノクラブとしましては、またいつの日か、優秀な人材確保のためにも、研究成果を実証する場としてもアキバへの回帰を願っております。

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ご講演

■「アキバの非製造業に見るものづくり中小企業
                        生き残りのヒント」    
  関東産学官連携推進室 室長 森 和男氏


 次にイノベーション推進本部 産学官連携推進部 関東産学官連携推進室の森室長より、研究支援部門としてアキバの地の利を活かした活動報告および中小企業へのメッセージを熱く語って頂きました。

 関東経済産業局の広域関東圏(1都6県+新潟県、山梨県、長野県、静岡県)の中小企業と産総研の連携を支援する部門として、中小企業への情報発信を中心に行い、アキバの姿が中小企業の経営戦略につながることをご説明いただきました。

 製造業の99.2%が中小企業(資本金3億円未満もしくは従業員300人以下)であり、働く人の3/4が中小企業で働いている現状を踏まえ、これからの経営戦略のヒントがここアキバにあると、4000億円とも言われるオタクの市場規模(家電市場は1500億円)や、その収益率の高さなどについて紹介されました。

 例えば、海洋堂は41名の従業員で30億円の売上高で、これは中小企業の一人当たりの売上高700万〜800万円の10倍となり、とらの穴はクリエーターの登竜門となっているなど、コンテンツとものづくりの融合が行われている街として評価されています。AKB48の巧みな運営手法にもドラッガーの「イノベーションは顧客の創造」という理念が根底にあり、ロングテールビジネスとして中小企業の経営戦略のヒントになり得ると話されました。

 いまや感性系?!ユーザーの付加価値の移り変わりを知るのにもアキバの姿がヒントとなり、顧客至上主義いうことと、モノの消費から心の消費への変遷も見逃せないポイントと締めくくられました。

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懇親会

■ 「ベンチャー創出と支援の報告」   
  イノベーション推進本部 研究参与 河野 満男氏


 次に前ベンチャー開発部長の河野氏より、産総研ベンチャープラットフォームとしての約10年間の歴史と、秋葉原での活動成果報告についてお話いただきました。

 企業や大学とも協力しながら産総研の技術シーズや人材を活かして、スタートアップアドバイザーとしてビジネス経験者も参加しながら創業準備のタスクフォース期間を経てベンチャー企業として創業!そして創業後も5年間支援を行いながら、さらに事業を活性化させるという仕組みの中で、秋葉原はオープンイノベーションハブとしてベンチャー創出の役割を果たしていました。

 日本のベンチャー企業数はアメリカやヨーロッパの1/3程度ですが、産総研技術移転ベンチャー称号付与企業数もH14年度以降順調に増加し、H22年度は108社となり、情報通信分野だけではなく、ライフサイエンスやナノテク、環境エネルギーなど多岐にわたる分野となっています。

 秋葉原時代は、資金投入しては成果を追求されるという楽しくも苦闘も続く時期でしたが、秋葉原という利便性とダイナミックさを伴う刺激的な拠点として大変魅力的なところだったと振り返られました。

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■ 「情報セキュリティ研究センターの活動報告」    
情報セキュリティ研究センター 副研究センター長 渡邊 創氏


 次に情報セキュリティ研究センターの渡邊副研究センター長より、秋葉原での活動実績を中心に、研究内容についてご説明いただきました。

 秋葉原での研究成果例として、フィッシング対策技術についてヤフーと共同開発を行ったWeb認証法の開発や、ハードウェアのセキュリティ試験環境整備として、攻撃や対策を評価する標準ボードやツールの開発などが挙げられました。

 ヤフーとの共同開発については、プレス発表も秋葉原ダイビルで行い、Web認証法の他、ブラウザやサーバーの開発、プロトコルの標準化提案など多岐にわたりました。
またセキュリティは、標準化と実装を同時に推進することが重要で、消費電力や電磁波を解析して内部の秘密情報を取り出すサイドチャネル攻撃への対応が急務とのことでした。

 さらに、国の施策にも貢献し、内閣官房の情報セキュリティ基本計画に基づき、昨年経済産業省系の産総研とIPA(情報処理推進機構)および総務省系のNICT(情報通信研究機構)と3者で情報共有するべく連携組織が作られ、定期的な意見交換を行っているそうです。そして国民生活の安心・安全に役立つ開発を今後も続けていくと締めくくられました。

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懇親会

■ 「秋葉原と社会知能技術」    
  社会知能技術研究ラボ 研究ラボ長 橋田 浩一氏


 秋葉原時代にいろいろな企業と連携したことが、いまの研究に活かされているという事例話からスタート致しました。2005年の入居当初は、ソフトウェアが目に見える様にしよう!ということでラボの研究と実社会を結び付けて社会に発信することを考え、愛知万博で政府館の情報インフラをサポートしたが、その技術を秋葉原に総合展示することとなり、現在は見守りサービスとして発展し、協調ナビゲーションやリアルタイムの避難誘導やお年寄りの見守りなどが実用化段階まで到達しました。

 秋葉原では、三洋電機や朝日放送とのプロジェクトで10Fに「情報住宅実証デモ」を作り、音声で住宅内の家電などを操作する実証実験の場を設けていました。この場がきっかけで旅行プランニングのシステム研究など様々な共同研究に発展したとのことです!

 また同じアキバテクノクラブメンバーの鹿島との連携プロジェクトでは、オフィスの生産性をいかに高めるかというテーマで、オフィス内のモノや人の動きだけでなく、スケジュール管理などITコンテンツも分析して、原設計コンセプトとの違いを見つけ新しい設計シミュレーションを行い、また現場にフィードバックするというサイクルとなっていて、このサイクルがまともに廻る様になった最初の研究ではないかということでした。これも秋葉原発!の産学連携プロジェク成果ですね。

 その後非常時の情報基盤の話になり、震災後2時間で立ち上がったパーソンファインダーと迅速な情報共有に役立ったTwitterは優れたところと足りないところがあるが、非常時だけでなく、産業振興にも役立つのではないかとの見解を示されました。ちなみにパーソンファインダーは3月15日には15万人が登録され、20日に20万人を超え、25日には50万人に達したそうです。

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■ 妹尾先生も急遽ご登壇!

 ディスカッションのコメンテーターをお願いしておりました妹尾先生もお付合いの長い産総研の方々のご講演を聞かれ、思わずパワーポイント資料を即行で作成されてのご登壇となりました。
 工芸の街(工:テクノロジー、芸:アート)アキバでの産総研との出会いを思い起こしながら、文化振興と産業振興の次世代モデルを作ろうというのが再開発の意図だったので、主としてテクノロジーをテーマにした秋葉原ダイビルに産総研に入って頂いた経緯に始まり、やはり昨今避けては通れない震災のお話へ。

  「復旧ではなく復興だ」と言われているが、復旧ではなくイノベーションということで、都市や生活モデルを変えられるか、リスクマネジメントもかなり変容するだろうという議論になっているそうです。(詳細は中央公論5月号をご参照下さい)

 現代はモノとエネルギーと情報での三位一体でできている社会であるが、震災時にもモノと情報とエネルギーが不足して困ったわけで、全て産総研が扱っている領域であるその3つをどのように融合化させる研究をしているのか期待しているということです。

 震災ではまさにOLDコミュニケーションメディア(電話)とNEWコミュニケーションメディア(SNS)をいかに使い分けたり組合せたりしなければならないか痛感したはず。生活のリスクマネジメント教育がなされなかったことや、被災地の学生がeラーニングで東京の大学の授業を受けられない現状にも、教育者として反省しているとのことで、学びの継続性もビジネスの継続性も重要であり、この分野でも産総研の活躍に期待しているとのことでした。

 その後企業の方向けに、サプライチェーン問題(調達ができないから製品ができない)は知財標準マネジメント問題を促進すること(例えば震災時に水もペットボトルもあるがキャップがなくて運送できなかった…各社キャップサイズが違っていたため)、科学技術大国なのに科学技術立国になっていないこと、観光資源があるのに観光産業化されていないことなどから仕組みを変えるイノベーションが求められていると解説いただきました。

(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)
懇親会

■ 懇親会

 妹尾先生からアキバについても、10年前にロボットとフィギュアの街になると宣言した通りになり、それらが積層化していてしかも徹底集積している、さらにお店も新旧融合していて、量販店も専門店も多層構造化していると分析されて、「アキバの午睡」としてアキバにいるだけでテクノロジ ーの最先端とマーケティングの最先端がわかる交流拠点であると位置づけられました。

 講演会に続いた懇親会でもアキバの可能性について語られ、産総研の方々の今後の活躍を祈りつつも、またアキバへの回帰も願って、楽しく懇親会も盛上りました。最後の「万かつサンド」とならない様にまたぜひお越し下さい!!

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