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  2017年度第4回アキバテクノクラブオープンセミナーを開催しました
               


講演の様子

2017/10/19
2017年度第4回アキバテクノクラブオープンセミナー
       
 
【登壇者】
藤岡 雅美 氏 / 経済産業省 経済産業政策局
          産業人材政策室 室長補佐

今村 啓太 氏 /経済産業省 商務情報政策局
          コンテンツ産業課 総括係長

小黒 一正 氏 / 法政大学 経済学部 教授



テーマ:『不安な個人、立ちすくむ国家』 
      〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜
            

 
■ 子どもを大人が支える構造への転換に向けて  

 2017年度第4回目のオープンセミナーは、アバンアソシエイツによるアバンフォーラムとの共催形式で開催されました。

 昨年8月、経済産業省の菅原郁郎事務次官(当時)の呼び掛けにより、国内外における社会構造の変化を踏まえた中長期的な政策の軸となる考え方を、若手官僚を中心に検討する勉強会が立ち上がり、その成果として今年5月にまとめられた提言『不安な個人、立ちすくむ国家』は、ダウンロード数が140万件を突破するほどの注目を集めています。

 登壇者である藤岡雅美氏と今村啓太氏は、この次官・若手プロジェクトのコアメンバーとして、旧弊打破へ踏み込んだ提言をされており、これからの経済財政について鋭い提言を発信する小黒一正教授をモデレーターに迎え、待ったなしの高齢化社会に向けてどのように構造転換を図っていくのか、その現状と課題・展望について議論を深め、参加者の皆様との共有を計る会となりました。

 はじめに、今村氏より、元気な高齢者の能力が十分に活用されない一方、母子世帯などにおいて貧困が連鎖・固定化する構造等、日本社会の現状・課題を、訴求力に優れた数々の図表と共に解説いただきました。そして、こうした社会の構造転換に向け、

 @一律に年齢で「高齢者=弱者」とみなす社会保障を
  やめ、働ける限り貢献する社会へ、

 A子どもや教育への投資を財政における最優先課題
   に、

 B「公」の課題を全て官が担うのではなく、意欲と能力
   ある個人が担い手に、

といった提言の骨子としております。

 勤労世帯が高齢者を支える構図から、子どもを大人が支える構図への発想転換により、弱みが強みとなる可能性が見出されるように感じられます。

 次に、藤岡氏より、個人の決断やリスクテイクに依存する部分が増大する「液状化する社会」で、国家と企業、国家と個人との関係を再考し、個人が安心して思い切った選択ができる「秩序ある自由」をどのように獲得してゆけるかといったテーマを中心に話題提供をいただき、加えて小黒先生からは、日本社会の行き詰まり感を浮き彫りにするべく、国民の稼ぐ力の鈍化や財政逼迫の深刻度等がハードデータと共に示され、低所得者等、本当に生活に困っている人を再配分の主なターゲットとするべきという、政治の役割に係るご意見もいただきました。



(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)

トークセッション・懇親会

■ あきらめない社会に向けた心構えとは  

  第二部のパネルディスカッションでは、小黒先生をモデレーターに、鋭い質問の球がお二人の若手俊英に向けて投げかけられました。

 日本は現行の微修正運営に行き詰まり感が色濃く、今後乗り切れるか、という問いに対し、今のままの制度では厳しい状態となるという危機感が示されました。

 全国一律の統治か、地方分権か、という問いには、都市部集中型の方が効率的だが、テクノロジーの進展により地方活用のあり方が変わるというご意見、集中と分権のハイブリッドにより、地方の多様性も活かすことが重要というご意見が示されました。

 老後の人生設計に係る問いには、年金頼みではなく自分らしい活躍の場を見つけるべきというご意見、収入保障だけでなく支出保障が成されることで生活設計がしやすくなるというご意見も示されました。

 最後に、目指すべき国家の方向に係る問いには、多様な発言を許容する社会、課題解決に向けた議論をあきらめない社会、チャレンジして前向きな人が報われる社会、といった方向性が示されました。

 パネルディスカッション後には、明治維新・敗戦に次ぐ第三のリセットのあり方、北欧のような大きな政府の可能性等、刺激的な討議を受けた会場とのバラエティーに富んだ意見交換等が成され、その後の活気溢れる交流会へとつながってゆきました。

※上記登壇者によるご発言は、各個人としてのご意見であり、その属する組織を代表する見解ではございません。


(写真をクリックいただくとトークセッション及び懇親会の様子がご覧いただけます)

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