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セミナー

2008/7/25  首都大学東京
〔会場:秋葉原ダイビル12F 首都大学東京
               秋葉原サテライトキャンパス〕

■ 脳のメカニズムがわかる?!
〔人間健康科学研究科 フロンティアヘルスサイエンス系
         脳機能解析科学分野 菊池吉晃教授〕


 感動した時、ん?いま脳のこの部分が動いている!と感じたことはないかもしれませんが、いまや脳の神経活動を画像化することができるのです。
機能的磁気共鳴画像法(fMRI)と脳磁界(MEG)という脳機能イメージング法を用いて、「イメージは脳のどこでつくられるか」、「自分と他者とを区別する脳メカニズム」などについて最新の脳科学に関する研究成果の紹介がありました。

 頭の中でブロック図形を回転するというメンタルローテーションの実験では、2D rotation(2次元回転)では主に右半球の上頭頂領域が関与するが、3D rotation(3次元回転)では右上頭頂領域の活動に加えて右運動前野も大きく関与することがわかったそうです。3D rotationでは、深さ方向の回転操作に加えて、3次元図形の見えない部分を可視化するという処理も必要になるが、この脳内処理に右半球の運動前野が関与するとのこと。

 また、右半球の下頭頂部分は、視覚情報や体性感覚情報さらには運動情報が統合される領域で、実際に右の下頭頂小葉を刺激すると、健常者でも体外離脱体験ができるそうです。以前水戸美術館でカプセルに入って体験できるイベントがありましたが、この刺激ちょっと試してみたい気もしますね。

(写真をクリック頂くと脳領域の写真がご覧いただけます)

セミナー

■ 人間の母性愛とは?
〔人間健康科学研究科 フロンティアヘルスサイエンス系
       脳機能解析科学分野 則内まどか講師〕


 いままでの母性行動の脳機能分析は動物実験から得られたものでしたが、最近fMRIを用いることで、人間の母親の「愛情」や「養育行動」の脳機能が明らかになってきました。

 自分の子供が泣いても笑っても、変わらずに高い感情値を示したのが、「母性」と「愛情」とのことで、その時の脳機能画像は、人間固有の一番高次な精神機能の場所で前頭前野眼窩皮質が活動するそうです。
  この部位は報酬系(reward system)の中枢であり、母親にとってわが子がきわめて大きな報酬対象であることがわかるとともに、「喜び」、「幸せ」、「心配」といいった育児を続ける上で重要な感情が誘発されていると分析されています。
  さらにこの部位の損傷によって母性行動は抑制されてしまうこともわかっているそうです。虐待や育児困難感といった現代社会の問題を考える上でもさらなる研究が期待されます。

 また、「場の空気を読む」のは脳のどの部分か?これは「Theory of Mind」と言われる集団や個々人の対人関係を築く上で必要な社会的機能で、脳科学的には、他者の「こころ」を推測する機能として、前頭前野内側部が中心的な役割を演じているとのこと。たとえば、ゲームをするときに相手がコンピューターではなく、こころを持つ人間であると思っているときに、前頭前野内側部の活動が高まるそうです。
 脳を活性化させる方法はいろいろありそうですね!

(写真をクリック頂くと「こころ」の説明写真がご覧いただけます)

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