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ご講演

2009/10/22 首都大学東京
秋葉原サテライトキャンパス・セミナー

  「地震防災技術の展開」

日時: 2009年10月22日(木) 17:50〜19:20
会場:秋葉原ダイビル12階 首都大学東京会議室
   


■ 大学院都市環境科学研究科 都市基盤環境学域  
   小田 義也准教授
   『見えないモノを見る技術 〜地震波で地下を探査する〜』
  

 今年度第3回となるセミナーは、「地震防災技術の展開」をテーマに、都市基盤環境学域と都市システム科学域のお二人の先生によるご講演となりました。
 はじめに、都市基盤環境学域の小田准教授による地下構造についてのご講演があり、見えないモノを見る探査技術について、興味深いお話を頂きました。
 日本地図に示された地震波と震源地の位置関係については、必ずしも震源に近いところで地震波が大きくなるわけではなく、地震波は地下構造によって増幅したり減衰したりするとのことでした。地下構造を事前に把握できていれば、大地震が発生した時の揺れをある程度予測できるので、地下構造探査は、防災上極めて重要になるわけです。
 土木・建築分野で利用される物理探査手法としては、屈折法や反射法などを用いる地震探査が約40%を占め、地下レーダー、磁気、電気探査と続きます。これらの物理探査によって、「地震動予測の高精度化」、「未知の断層の発見」、「断層活動性の評価」が期待できるそうです。
 小田先生の研究室では、常時微動を用いた探査法や、特定の震源を必要としない地震波干渉法を利用した新しい探査手法の開発を行っているそうです。また、大学構内と神奈川県逗子市において地震観測を行っており、地震時に即時的に市区町村内の詳細な震度分布を推定する手法の開発など、多摩地域も含めて、地域密着型の研究を実施されています。

(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)

ご講演

■ 大学院都市環境科学研究科 都市システム科学域  
   長嶋 文雄教授
   『文化財を地震から護る』

 意外にも、東京都内にも、国指定の重要文化財が2,289件あり、全国の都道府県の中で最も多く、そのうち234件は国宝で、京都に次いで2番目に多く保有しているそうです。
 この後世へと継承すべき重要な文化財を地震などの災害から護るための最新コンピューターシステムや防災技術の動向などについて貴重な情報をご紹介いただきました。
 文化財の地震防災意識は、1995年の兵庫県南部地震以降、関心が高まり、様々な活動が見受けられるが、中でも立命館大学の21世紀COEでの京都の寺社の防火用水作りなどの活動や研究は特筆すべきで、文化財保護の動向も、官から民への動きがあるそうです。地震の起こった地域では、その後文化財レスキューマニュアルや資料ネットワークが作成されています。
 展示物の転倒対策として、五徳状の支持具やプラスチック製の支持具、免震装置+天蚕糸(てぐす)など、様々な転倒対策が行われています。ちなみに、国立西洋美術館のロダンの「地獄門」の免震化も1999年に行われ、免震装置として円弧ローラー支承+粘性体ダンパーが組み込まれているそうです。
 セラミック製文化財模型を用いた転倒安定性の振動台実験や土器などの鉛を用いた重心を下げる転倒防止対策や、五徳を用いた転倒防止対策など、その効果の検討なども行なわれています。
 その研究成果として、本転倒限界加速度評価支援システムのCDを無償で配布されてらっしゃるそうですが、今後の展望としては、地震時だけでなく、文化財の運搬時の損傷防止対策などについても衝撃問題として扱う必要があるとのことでした。
 長嶋先生のご専門分野は、都市施設の耐震設計、衝撃問題、環境振動問題、バイオメカニクス、地震危険度測定など多岐にわたりますが、旅の途中で有名な橋を見るのが楽しみという趣味を持たれるだけあり、共著で「橋 なぜなぜ読本」を出版され、工学としての橋と社会学としての橋について書かれているそうです。趣味の域を超え、もちろん橋梁の耐震・免震もご専門で、都市基盤環境工学専攻の兼任教授でもあり、今後のご活躍が期待されます。

(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)

交流会

■ 交流会

 ご講演に先立ちお話いただいた高橋理事長も参加され、講師のお二人の先生を囲み、賑やかな交流会となりました。次回の平成21年度第4回秋葉原サテライトキャンパス・セミナーは、産業技術大学院大学から情報アーキテクチャと創造技術のソリューション例の紹介として、「微小部品ハンドリングと個人情報セキュリティ」をテーマにしたご講演だそうです。

(写真をクリックいただくと交流会の様子がご覧いただけます)



 
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