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ご講演

2010/1/20 首都大学東京
秋葉原サテライトキャンパス・セミナー

  「超精密周波数を基軸とした近未来技術展望」
    −新製品・新分野への展開−

日時: 2010年1月20日(水) 17:50〜19:20
会場:秋葉原ダイビル12階 首都大学東京会議室
   


■ 『超精密周波数を基軸とした近未来技術展望』
  渡部泰明 教授
  

 今年度第5回となる当セミナーは、高橋理事長からのご挨拶で始まり、立派な教育と良い研究と社会還元等、大学の役割についてのお話があり、その後大学院理工学研究科電気電子工学専攻の3人の先生方によるご講演となりました。

 まず、渡部教授より周波数とは?に始まり、周波数安定度の解説や、共同研究室の研究テーマや現在進めている重点研究の概要などの説明が行われました。インターネットを始めとする高速デジタル通信網や移動体通信網に象徴されるように、通信の高度化・多機能化は精密周波数の発生技術の進歩に負うところが大きく、このような通信環境を支える要素技術として、精密周波数発生とその応用技術が研究テーマとのことです。

 具体的には、精密周波数の重要性に着目し、超精密周波数を発生させるために必要な圧電デバイス技術、超小型原子発振器、医療測定技術の開発等を進めているそうです。圧電はキュリー夫人により発見された物理現象ですが、圧電デバイスは、あらゆる電子機器に利用されていて、現在では携帯電話の心臓部分である水晶振動子や充電器用の素子として実用化されているそうで、渡部教授の開発した水晶振動子は70%のシェアでほとんどの携帯に使われているそうです。
 渡部教授のご講演後、お二人の助教によって、研究開発状況の詳細について、ご説明いただきました。

(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)

ご講演

■ 『超小型原子発振器の実用化に関する研究』
   五箇繁善 助教

 端末機器や無線LANなどの高速通信機器分野では、今後キャリア周波数が一層上がる方向にあり、現在用いられている基準発振源の水晶発振器の周波数安定度では、大きな周波数帯域を有効活用するには限界があるそうです。

 その点、現在開発中の携帯端末搭載可能な超小型原子発振器(体積1?以下)を用いれば、携帯端末での超高速通信、GPS機能の向上、車載用レーダーの高精度化、医療測定器の高精度化など、様々な分野で数桁違いの特性改善が可能と見られています。

 従来型の原子発振器(体積100?より大)の小型化は限界とされていましたが、CPT(Coherent Population Trapping)というある条件下においてアルカリ元素の吸収線に細い線幅の透明化が起こる現象を用いると、光学装置のみで基準周波数源を取り出すことが可能となり、共振器の必要がない構造は、超小型原子発振器に適しているとのことで、現在、長期安定度改善と低消費電力化に関しての研究を行っているそうです。

(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)

ご講演

■ 『超音波を利用した血液粘度計の開発研究』
   佐藤隆幸 助教


 みなさまの血液は、ドロドロ?サラサラ?気になるところですね。最近その血液粘度測定の需要が高まっています。時間帯、食事、水分摂取、睡眠、飲酒、発汗、入浴等で大きく変動するそうなのですが、現在の測定方法では、病院で注射針を使用して採血し分析しているのが実情で、検査料が高い上に、痛みや恐怖感、感染症の危険性がある等、欠点が多いと言われています。

 現在開発中の「超音波を利用した血液粘度計」では、家庭で血圧をセルフチェックする感覚で血液のサラサラ度を測定でき、血液ドロドロが引き起こす多くのメタボリック症候群に対する重要な予防対策となると思われるとのことです。この体を傷つけない非侵襲的測定方法は、エコーを用いたもので、血液中の化学的環境変化による赤血球の凝集を粒径の変化と捉え、粒径変化による音波の反射散乱パターンの変化に着目したものです。ドロドロ血液(血球の凝集)はエコーの変化なしで、サラサラ血液(自由な血球)はエコーの変化ありということになるそうです。

 予想される波及効果としては、患者の肉体的苦痛と経済的負担の軽減、糖尿病に対する予防医療の充実などによる公的医療費(総計33兆円)の削減、血圧計と同等の市場規模の期待などがあります。実際にヘルスマネジメント製品市場は503億円と言われ、そのうち血圧計は220億円で年10%増の傾向とのことで、将来的には家庭用血圧計との合体も視野に入れ、研究されているそうです。今後の商品化が待ち遠しい方も多いのではないでしょうか。

(写真をクリックいただくと交流会の様子がご覧いただけます)



 
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