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2010/7/20 株式会社フジキン
『フジキン.カープ.グループ
創業80周年深謝 特別講演会 』
〔会場:秋葉原コンベンションホール(秋葉原ダイビル2F)〕
■ 80周年のキーワードは「創」
最新のビジネスとエレクトロニクス産業情報の提供の場として、株式会社フジキンによる特別講演会が行われました。
開会にあたり、株式会社フジキン 小川代表取締役会長より、創業80周年の感謝の気持ちと事業に対する熱意が込められたご挨拶からスタートしました。今年を社訓の「温故創新」に基づき、また創業時の初心に戻るという意味からも、「創」の年と位置付け、80周年を契機に新"創"業を果たし、ながれ制御機器・システムの可能性を無限大に広げ、世界の最先端産業をこれまで以上に支えていくという決意表明となりました。
続いて、経済産業省 大臣官房審議官(製造産業局担当)の後藤氏より、『回復後の経済と今後の経営』と題して、基調講演が行われました。
国を挙げて産業のグローバル競争力強化を図るという産業構造ビジョンの実現に向けて、政府と民間を通じた「4つの転換」が必要とのことです。第1に、隠れた強みをビジネスにつなげる「新・産業構造」の構築のための『産業構造の転換』。第2に、技術で勝って事業でも勝つための『企業のビジネスモデル転換の支援』。第3に、『「グローバル化」と「国内雇用」の二者択一からの脱却』。第4に、国家間の熾烈な付加価値獲得競争に勝ち抜くための『政府の役割の転換』を挙げられました。市場機能を最大限活かした新たな政官民連携として、トップ外交やコンソーシアムの形成や研究開発拠点の構築などが期待できそうです。
(写真をクリックいただくとご挨拶およびご講演の様子がご覧いただけます)
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■ 科学の街つくば
次に、つくば市長の市原氏より、『研究機関の集積と科学の街つくば』と題して、基調講演が行われました。
国策として科学技術拠点都市建設が行われ、「筑波研究学園都市」が誕生した経緯に始まり、フジキンのチョウザメ養殖施設や産業技術総合研究所や高エネルギー加速器研究機構などの研究施設集積(約300社超)による科学の街つくばの紹介や、自然豊かな田園都市でもあることなどの説明により、街としてのポテンシャルも高く、「世界一」や「世界有数」の研究開発インフラを備えていることがよくわかりました。
また、「つくばイノベーションアリーナ」と称して、筑波大・産業技術総合研究所・物質材料研究機構・経団連にてナノテク研究拠点を形成しているそうです。そして、EVカーシェアリングやEV公用車などを実施し、クリーンエネルギーを活用した低炭素交通社会システムの共同実証プロジェクトも行われています。
さらに、2008年8月には、ロボットの街つくば推進協議会を設立し、「ロボットと人間が共生する社会」をつくばから実現するべく、2010年1月に「搭乗型移動支援ロボット(モビリティロボット)公道走行実証実験特区」の認定を受け、今年11月にはロボット安全認証研究拠点として稼働予定とのことです。グローバルイノベーション拠点として機運が高まるつくば市に今後も注目したいと思います。
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■新産業革命がはじまる!
次に、(株)産業タイムズ社 社長兼編集局長の泉谷氏より、『環境エネルギー革命がエレクトロニクスに与える一大インパクト』と題して、特別講演が行われました。
世界同時不況といった経済環境の中で安定した経済成長を取り戻し国内雇用を確保するために、主要先進国では環境やエネルギー分野に重点投資する政策が進められており、その投資規模は世界主要国で30兆円を超え、中長期的に世界全体では500兆円〜700兆円の巨大市場構築が見込まれているそうです。これは自動車業界の300兆円を超える規模で、環境エネルギー分野への投資で最も恩恵を受けると予想されるデバイス業界では、要素技術を支える部材としての太陽電池、二次電池、パワーデバイス、白色LED、光源有機ELなどに関心が集まっているそうです。
特にエネルギー政策では、EU諸国は太陽光発電を新エネルギーの主役に位置付け重点投資をしており、太陽光発電所建設など世界のメガソーラープロジェクトの主役として名乗りを上げ、ドイツの企業等を中心に急速に技術とノウハウの集積が進んでいます。
例えば2009年現在、太陽電池売上高トップ10に日本のメーカーも2位のシャープはじめ、京セラと三洋電機と計3社が名を連ねていますが、ドイツと中国の企業の追い上げは激しく、国内にメガソーラープロジェクトのない我が国メーカーの苦戦は明らかで、我が国政府として太陽光発電に注力するかどうかの政治的判断が急務であるとのことでした。
再生可能エネルギーには、太陽光以外にも風力や水力、ヒートポンプなどがありますが、中でもヒートポンプはNEDOで開発され日本の企業が多くの特許を持っており、環境エネルギー市場を引っ張る最終秘密兵器と成り得るとのことでした。ヒートポンプユニットで空気中の熱を吸収し、圧縮して温度を上げる圧縮式ヒートポンプシステムは、家庭内の電力を1/3に減らす優れ物だそうです。しかも家庭用で比較して、太陽電池はイニシャルコストが200万円であるのに対して、ヒートポンプは50万円と安く、量産が進めば10万円台も夢ではないとのことでした!
そして、環境エネルギー革命の大きな主役といえば、です。情報通信や情報制御技術を駆使して電力供給をより効率的に行う次世代電力ネットワークであるスマートグリッドの世界市場は、2014年には1710億ドルに達するとみられているそうです。
その様な巨大市場には、IT大手が続々と参入し、IBMは世界各国での実証実験に参加し、GEは富士電機とスマートメーター合弁企業を設立、インテルはAtomを売込み、グーグルはソフトウェア独占を狙う中、もちろん東芝、日立、パナソニック、シャープなどの日本勢も本格参入しているそうです。日本政府もに今後5年間で1000億円投入し、横浜、豊田、北九州市、京都府の4か所を選定し、5000世帯で大規模な実証実験を実施するとのことです。ちなみに、中国はなんと2020年までにスマートグリッドに50兆円を投入する予定だそうです。
そして、最後に環境エネルギー革命で「中小企業再活性化」の時代が来ると熱く語られました。ヒートポンプもリチウムイオン電池もまだまだ技術的には未完成で、新素材の開発や機器の改善には、中小企業の底力活用が必須条件とのことで、ニッポンの新時代に大いに期待しているとのことでした。
ご専門の半導体については、やはり環境エネルギー革命を支える技術・システム・機器等の中心となる部材となるため今後ますます需要の伸びが予想され、世界規模で需給状況が逼迫することとなり、今年の秋頃には日本メーカーの製造が追いつかずに、半導体に関連した中小企業の操業状態が大変なことになるかもしれないと警鐘を鳴らされました。
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■ 夢の光革命!
次に、山形大学大学院 理工学研究科の城戸教授より、『有機ELで地方を変える、日本を変える』と題して、特別講演が行われました。
1993年、世界初の白色有機ELの開発の成功が、アメリカの学術論文「Science」に掲載され、城戸教授の有機電子材料やデバイスの研究が、世界各国の大企業から熱い視線を集める様になりました。
有機ELとは?有機EL(エレクトロルミネッセンス:電界発光)素子は一種の発光ダイオードであり、有機材料を用いているため有機LEDとも呼ばれているそうです。蛍光ペンや蛍光漂白剤に用いられる蛍光材料を発光体としていて、素子の発光色は、青、緑、赤の三原色はもちろん白色発光も自由自在とのことです。
有機EL素子の特徴は、薄い、明るい、曲げられる、低消費電力かつ省エネなので、薄型テレビや照明器具などに応用できるそうです。実際に、携帯電話やデジカメのディスプレイなど製品化されています。2008年の洞爺湖サミットでも有機EL照明がデビューし、白熱電球でも蛍光灯でもない新しい明かりとして、近い将来の実用化を予感させるお披露目となりました。
ただし、実用化に向けては、発光効率を蛍光灯と同レベルまで引き上げることと、大量生産にむけて製造ラインを構築することなどが課題だそうです。今後はスポットライトのような指向性の強い光はLED(発光ダイオード)、全体を照らす柔らかい光は有機ELといった用途による使い分けが予想されています。有機ELは、理論的には蛍光灯の1/4〜1/5の省エネが実現可能で、地球温暖化対策にも貢献できるとのことです。
実用化に向けて、産学連携体制を維持しながら、照明用有機ELパネル合弁会社の「Lumiotec」を2008年5月に、三菱重工・ローム・凸版印刷・三井物産・山形大学城戸教授により設立されたそうです。
世界ではドイツのドレスデンがヨーロッパの「有機エレクトロニクスバレー」になっているそうですが、山形でも、「有機エレクトロニクスバレー構想」として、山形大学で基礎研究を行い、城戸教授が所長を務める有機エレクトロニクス研究所で実用化研究を行い、「Lumiotec」や有機ELディスプレイ会社(パイオニアなど)やベンチャー企業群、山形県内の中小企業群、県外の大企業群などと連携して、工場誘致も含めた構想が進行中だそうです。
山形大学内に、有機ELをはじめ、有機トランジスタや有機太陽電池などを扱う「先端有機エレクトロニクス研究センター」が今年の12月竣工予定とのことですので、バレー構想が現実味を帯びてくることでしょう。さらには山形だけでなく、各地で様々なバレーができ、技術立国日本への復活のシナリオを描かれているそうです。
月の半分は、学会や講演会で全国を飛び回っていらっしゃる城戸教授ですが、「ひらめき☆ときめきサイエンス」など小中高生対象の科学教室も多く、明日の科学者育成にも力を注がれています。立派な科学者に成長して、世の中に役立つ研究を行ってくれることを期待したいと思います。
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■ 懇親・交流会へ
懇親・交流会の冒頭、地元神田神社(神田明神)禰宜の清水氏より、『アキバの秘められた歴史と文化』と題して、江戸時代の神田の地形や方位など、江戸総鎮守の視点でアキバ繁栄の原点を語って頂きました。
その後、フジキン筑波研究工場で養殖している「チョウザメ」を食材にしたお料理などが並び、テーブルも会場も賑やかな懇親の場となりました。
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