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開会挨拶とご講演

2010/9/29 首都大学東京
  『環境-エネルギーフォーラム2010』
 〜地球温暖化防止に向けた 廃棄物発電の再評価と高効率化の促進〜


日時: 2010年9月29日(水)13:00〜17:00
会場:首都大学東京 秋葉原サテライトキャンパス
    (秋葉原ダイビル12F)

 
■ 高効率廃棄物発電を促進しよう!
  

 地球温暖化防止に向けた環境-エネルギー関連の総合政策に基づいて、各階層において種々の取組や新エネ・省エネに関する技術開発が現在精力的に展開されている中、本フォーラムでは、廃棄物発電の位置付けの再評価を試みるとともに、更なる効率化を達成するうえで障害となっている課題について、技術論はもとより、政策・施策論も交えて、環境-エネルギー問題解決に向けて共通認識を得るべく開催されました。開会にあたり、首都大学東京 産学公連携センターの齋藤センター長よりご挨拶の後、座長である北海道大学大学院の黒川教授の進行で基調講演が始まりました。

 立命館大学客員教授であり京都大学名誉教授である武田信生氏より、「地球温暖化防止と高効率廃棄物発電」というタイトルにて、基調講演が行われました。廃棄物処理に対する考え方として、もともとは公衆衛生から始まり、環境保全→資源循環へと変遷しました。一般論として、海外では電力回収率も熱回収率も高く、再利用率も高いが、これは、戦争によってエネルギーを奪い合っていたという歴史的な背景もあり、エネルギーに対する危機感が強いことや、ゴミの主成分が非腐敗性の有機物であり、気温と湿度が低いため燃料価値が高く暖房需要が大きいことなどがあげられるそうです。
  これに対し、日本では、海に囲まれ安価なエネルギー資源の輸入が可能であり、ゴミの主成分が腐敗性有機物であることや、気温と温度が高いため、衛生的処理優先となり、暖房需要も少ないなどなかなか回収率も利用率も高まらない現状があるとのこと。高効率廃棄物発電については、2009年度から高効率ごみ発電施設について、交付率を1/2に引き上げるなど積極的な拡充支援を行っているそうです。

 次に、(財)日本環境衛生センター常務理事の藤吉秀昭氏より、「廃棄物処理と地球温暖化対策の基本課題」というタイトルにて講演が行われました。環境省としても自然との共生を図りながら、人間社会における炭素も含めた物質循環を自然、そして地球の大きな循環に沿う形で統合的取組として展開しているようです。そして、廃棄物分野の地球温暖化対策の基本課題として、廃棄プラスチックの熱利用のあり方や、ごみ焼却発電かMBT(機械生物処理)か、産業界での廃棄物の燃料利用促進などを挙げられました。

(写真をクリックいただくと会場の様子がご覧いただけます)

ご講演

■廃棄物発電の未来と可能性とは?

 次に、朝日新聞記者であり、産総研の新燃料研究外務評価委員でもある杉本裕明氏より、「廃棄物発電はなぜ嫌われるのか?〜廃棄物発電の未来と可能性について〜」というタイトルにて講演が行われました。杉本氏は1991年から環境庁を担当して以来、環境報道を中心に活動を続け、廃棄物、大気汚染、水問題、ダム・河川政策、地球温暖化、自然保護など対象は幅広い。
  ゴミ総排出量と1人1日当たりごみ排出量の推移は、どちらもH12年をピークに毎年減量していて、個々の意識の現れかと思われる。また、リサイクル率の高い市町村は、人口10万人以上50万人未満では、1位鎌倉市、2位倉敷市、3位調布市となっており、10位までに東京都の6市が入っている。人口50万人以上では、1位北九州市、2位横浜市、3位千葉市となっており、以下、八王子市、新潟市、名古屋市、姫路市、さいたま市、相模原市と続き、10位に東京都23区分となっている。
  H20年度は、発電施設数300に対し、発電効率11.19%で、毎年効率は上がってきてる。さらにエネルギー回収(ごみ処理量当たりの発電電力量)の回収量上位は1位から3位まで大阪府で、東京都23区は8位となっている。
  ちなみにドイツのゴミ事情は、まずゴミ収集が有料であり2人家族で月額約3,000円とのこと。自分でごみを持込む「リサイクリング・ホフ」や容器包装のリサイクル「DSDシステム」などのシステムが確立している。さらに有機物の埋立て禁止のため、焼却による熱回収、バイオガス化と焼却の流れが一気に拡大している。ごみ処理は地球温暖化の観点を重視するため、リサイクル率よりリカバリー率に重点をおいているとのこと。
 日本は、焼却を害悪視する傾向が強いが、欧州はその傾向は弱い。焼却施設が嫌われるのは、自治体・住民双方に問題があり、迷惑施設を前提に立地検討をすることがおかしいと杉本氏は分析し、この施設ならいいというモデルを造るべきと提言する。学者の間では、リサイクルするより燃料として発電に利用する方が効率的と提唱している。しかし、住民団体からは反対の声が上がり、政治家へ働きかけ、学者たちが提言しにくい環境ができており、非常に憂いているとのことでした。

 そして、最後に、首都大学東京都市教養学部教授の吉葉正行氏をコーディネーターに、講演者のお二人と(株)クボタの阿部清一氏と東京23区清掃一部事務組合の柳井薫氏を加え、5名でのパネルディスカッションを行いました。論点は、廃棄物発電の高効率化推進の経緯と現状、廃棄物発電の高効率化促進に対する阻害要因と重要ポイントについて、活発な議論がやりとりされました。その中で阿部氏は「ごみをごみで処理する」と主張され、溶融処理の専門として、リデュースおよびリユースを優先することや、燃料利用などこれからのゴミ処理について提案されました。

(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)

交流会

■ 交流会

 企業や大学、行政の方々など、多くの方々で会場は、あっという間に賑やかな交流の場となりました。環境とエネルギーという関係性の高いテーマであっただけに、参加者の方々の関心も高く、熱心に聴き入った講演会の続きで、講師の方々を囲んだ意見交換や、初対面の方同士の名刺交換など、活発に行われていました。

(写真をクリックいただくと交流会の様子がご覧いただけます)

 
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