2010/11/17 首都大学東京
秋葉原サテライトキャンパスセミナー
日時: 2010年11月17日(水) 17:50〜19:20
会場:秋葉原ダイビル12階 首都大学東京会議室
『最前線の機能性色素
-有機デバイス、センサー材料、クロミズム材料を目指して-』
■ 「含ヘテロ分子系機能性色素:有機元素を組み合せた
ものづくり」
大学院都市環境科学研究科 分子応用化学域
教授 久保 由治氏
優れた光物性や電子物性をもつ新規なπ電子系化合物の合成は、有機ELや有機太陽電池に代表される有機デバイス材料に寄与するだけでなく、希少資源に頼らない「ものづくり」の切り札として可能性をもっているそうです。久保研究室では、このような超分子化学の視点から「人の暮らしを豊かにする材料」の開発を続けています。
最近、炭素中心の分子系において、いかにヘテロ元素(水素と炭素以外の元素)を組込み特異な性質を引き出すかに関心が高まっているそうです。そこで今回は、久保研究室の研究の中で、ヘテロ元素の中のホウ素を含む機能性π電子系などの新機能についてご紹介いただきました。
先日のノーベル化学賞でも話題となった鈴木名誉教授のクロスカップリング反応も有機ホウ素化学の分野でした。ちなみにホウ素は、無機材料としてガラス材料や漂白剤、繊維素材に利用されています。植物の必須元素の一つであり、98%は細胞壁に存在し、私たちは、フルーツや野菜からホウ素を摂取しているそうです!
空のp軌道をもつホウ素は、π電子系の非極在化を可能にする強いアクセプター(電子受容体)であり、強い蛍光特性や高い光化学安定性があり、化学センサーやバイオイメージング用試薬や有機デバイス材料に利用されているそうです。
今後の展開としては、π電子系化合物からの視点からの超分子的手法のボトムアップアプローチとデバイス構成の視点からのトップダウンアプローチを協働させて、有機無機複合体と色素体の合成を通じて有機デバイス分野に寄与する新物質提案をしていきたいとのことでした。
(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)
|