最近の焦点は『国際的』 ロシアに赴任されるなど海外との豊富な折衝経験からグローバルな視点をもつ文部科学省の田口氏は、海外からの受託研究が極めて少ない大学の現状を踏まえ、海外への情報発信の重要性を唱えられました。 施策としては、とにかく実施者である研究者に研究をしたくなるインセンティブを与えること。国立大だけでなく私立大も研究成果の個人帰属から機関帰属へ移り、知財管理体制の支援を充実させたり、大学の先端研究施設を企業との共同研究の場としたり、行政が大学発ベンチャーへ投資できるようになったり、TLO制度の創設から10年経ち大学成果の社会還元の制度整備が進んでいます。現在発明件数は国立大と私立大と合わせて約10000件で、特許出願率は約70%だが、海外特許率は低い状況。 最近の焦点は、「国際的な」知的財産を活用して、大学のシーズをグローバルに展開する能力を持つ必要があると強調されました。 最後に、研究振興局 研究環境・産業連携課長として、「楽しい!産学官連携活動をアキバテクノクラブにぜひ先導してほしい」と力強く激励のお言葉をいただきました。 (写真をクリックしていただくと、お話頂いている田口氏と真剣な表情のメンバーの様子がご覧いただけます)
《産学連携トークセッション》 日本型のイノベーションシステムがあってもいいのでは? 産学連携でアメリカと差が生じるのは、やはり事業化力の差だが、アメリカとは違う日本型のイノベーションシステムがあってもいいと思うと田口氏は語り、研究費を出した国側がしっかり評価することが重要とのこと。 妹尾先生もアメリカでも成功しているのは一部で知財や利益関連の調整について苦労していると説明。アウトプット指標(結果指標)ではなくて、アウトカム指標(成果指標)をどうするかだという意見に対して、田口氏も大学に投資したものがどれだけ社会に還元されたかが指標であり、大学の成果を世の中で使ってもらうためには事業化しないといけないし、ビジネスにしないと技術がよくても使われないと語られました。 その後トークは事業プロデューサー論へ。技術の目利きではなく、事業の見巧者(「通」)が必要であり、利害調整をするコーディネーターも必要だが、事業プロデューサーがとにかく必要!と妹尾先生が強調され、田口氏からもプロデューサーが不足しているのは事実だが、育成できるのか?と逆に質問され、科学教育の中から科学者が育つのと同じで、事業にわくわくする人を集めて教育すれば育つと妹尾先生は力説されました。 MBAブーム、法科大学院ブームの次のブームになり得ますでしょうか? (写真をクリックしていただくと、会場の様子がご覧いただけます)