■ 縮小という現状を受け入れたがらない地方都市
平成合弁前3,200市町村の99.9%を私費で訪問し、まちづくり、観光振興、産業振興、人口成熟問題などの諸分野で、全国で年間400回以上の登壇をこなしている日本政策投資銀行地域振興部参事役の藻谷浩介氏をお招きし、「ニッポンの『地域力』−縮小の時代に耐え抜く」をテーマとして、社会的、経済的、地域経営の観点からお話をいただきました。
2005年を境として本格的な人口減少社会に突入した日本。2055年には4000万人も人口が減少するとまで言われています。夕張市の財政破綻を皮切りに、人口減少、産業構造転換がこれからも続々と第2、第3の夕張を生み出すと言われています。ところが、地方の人ほど深刻な縮小の事態を分からずに今後も高度成長することを信じて疑っておらず、このままでは最悪の事態が続出しかねない、と藻谷氏は警告を発します。
藻谷氏は縮小する都市をKY(ここでは「空気だけしか読まない」の意味。すなわち、日本人が本質を捉えず、「思い込み」や「勘違い」で物事を判断しがちである)な態度で扱うことを改め、データをもとに本質を捉えることの重要性を指摘しています。この日は、青森市、山口県、香川県、石川県、三重県名張市などのデータを提示して、人口減少にも関わらす商業床が増え続ける矛盾を指摘するとともに、都市計画の放棄により発生する無個性都市の出現、インスタレーション建築などについて問題を提起しました。まさに目からウロコが落ちる思いをし続けた40分間の熱弁でした。
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