アキバテクノクラブ
イベント
  >>2010/3
コンセプト
アクティビティ
メンバー活動紹介
ATCメンバーリスト
ポッドキャスティング
イベントスケジュール
+お問い合わせ
+サイトポリシー
+個人情報保護について
ホームへ戻る
基調講演

2010/3/8 (独)科学技術振興機構

 『低炭素社会を実現し、雇用を創出するビジネスモデルとは』 
会場:秋葉原コンベンションホール(秋葉原ダイビル2F)

■基調講演:妹尾先生


 3月8日 秋葉原コンベンションホールにて (独)科学技術振興機構主催「低炭素社会を実現し、雇用を創出するビジネスモデルとは」と題するシンポジウムが行われました。

 第一部は、大成建設、NTTデータ、ローソン、佐川急便から、低炭素社会への取り組み事例が発表されました。続いて、マッキンゼーアンドカンパニー中原氏による基調講演が行われ、気候変動問題が京都議定書後の欧州を中心とした動きの第一段階から、リーマンショックを経て、世界が環境問題と経済問題・雇用問題の同時解決を目指す第二段階にシフトしたこと、これらの問題を解決するための規制導入や財政出動によって出現する新たな市場を自社ビジネスとして取り組むべく、積極的な事業展開を行っている欧米企業の動向を紹介され、規制・政策の市場開拓・事業開発へ巧みにつなげる発想の重要性を強調されました。

 休憩の後、アキバテクノクラブのアドバイザーでもある妹尾先生により「ビジネスモデルイノベーションの時代」と題する基調講演が行われました。本年度の交流会での各講師の講演内容、そして妹尾先生とのトークセッションでの議論の文脈そのままに、ここ数年日本製品の世界シェアが急激に落下する例は、液晶パネルはじめ、DRAMメモリなど枚挙にいとまがないこと。「技術の良さで勝負する時代」が終わり「技術力をいかに有効に使うかの知を競う時代」に入っていることを示しており、自前主義、既存モデルを技術力で磨きあげていくのに長けた日本の企業はその流れに乗り遅れているだけでなく気づいてもいない、と厳しい口調で話されました。

 さらに、インテル社やアップル社の例をあげ、製品技術のどの部分をオープンにし、どこをクローズにするかを戦略的に使い分けるビジネスモデルを確立できたところが、収益を挙げ続けていると述べられました。今や時代は新しいビジネスモデルと知財マネジメントの開発と展開による「国際斜形分業型」イノベーション、すなわち「ビジネスモデルが勝負の時代」に入り、日本がこの時代に生き残っていく為には、まずはこの潮流に気づき、「知を使う知」=事業軍師を育てることが急務であると締めくくられました。

( 写真をクリックいただくと基調講演の様子がご覧いただけます)

パネル展示

■パネルディスカッション
 
 続いて、先ほどの事例紹介のメンバー4名と基調講演者2名によるパネルディスカッションが行われました。「低炭素社会」への取り組みはなかなか社内でもすすめにくい。社内で推進するためのヒントはありませんか。との問いには、「環境問題はチャンスである」と捉えることが大事であり、日本で行うことが難しければ、まずは海外で始めてみることもひとつの方法であるといったやりとりがありました。

 また、日本での成功事例として、いくつかの企業が挙げられました。その事例のどれにも共通するのは、トータルのバリューチェーンを見通して上位レイヤーでビジネスモデルを考えていること、が成功の鍵となっているとのことでした。さらに「低炭素社会への取り組み」の中で注目されるスマートグリッドも単なる電力の効率化を図るための方策ではなく、産業構造の変化をもたらす第二のインターネットだと考えるべきで、電力が選べるようになると、電力の世界にも大きな電力会社が支配するマーケットに市場原理が持ち込まれることとなり、産業構造の変化、すべての家電がこのネットワークに組み込まれること、等大きな変化の波が来ることとなり、国際的なルール作りに参加して標準化の流れについていくことが大事であり、その鍵を握るのは研究独法だとその役割の重要性を強調されました。

 スタンドアローンからネットワークへ。スタンドアローンの時代は終わり、「低炭素社会の実現」をひとつの契機として、EVやスマートグリッドなどネットワークの中で商品なりサービスを生かす方策を考える時代にきているのだと考えさせられたシンポジウムでした。

(写真をクリックいただくと、パネル展示の様子がご覧いただけます)

  ▲topへ →アーカイブリストへ戻る