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  アキバテクノクラブ「レビュー&プロモーション2010」を開催致しました!

■パンフレット■



パンフレットをご参照いただきながらご覧ください
オープニングセッション

◆オープニングセッション

 今年で5周年という節目の年を迎えるアキバテクノクラブの「レビュー&プロモーション2010」。まずは、主催者を代表して、東京大学大学院情報理工学系研究科の石川教授よりご挨拶があり、現在行き詰まりをみせている日本の現状を打破すべく、このアキバから「融合と連携」で新たな道を開いていきたいとの思いと、それを実践的に行う組織としての「アキバテクノクラブ」への期待をお話いただきました。
 続いて、総務省、文部科学省、経済産業省、観光庁の各省庁からは、世界に冠たる電気街、コンテンツ産業の発信地であり、TXの開通により300を超える研究機関への入り口となった秋葉原の魅力と、これらの世界レベルの様々な機能がクロスする場ならではの新しい産学連携への期待が語られました。

【写真をクリックしていただくとご挨拶の様子がご覧いただけます】

基調報告

◆基調報告

 『ビル栄えて、街いっそう栄える                              〜産学連携とアキバ〜』

 5周年を迎えたアキバテクノクラブの設立経緯を含め、秋葉原がどういう考え方で開発されてきたかを解説し、パネルディスカッションのテーマである産学連携とイノベーションについての議題提起となりました。
 秋葉原は、電気街とITの拠点、サブカルチャーとコンテンツの拠点となって、「アキバ」の範囲も拡大され、ここ秋葉原クロスフィールドも2000年の東京都再開発計画から始まり、秋葉原ダイビルがテクノロジー系、UDXがコンテンツ系というコンセプトにて開発されました。東京都の要請もあり2005年3月竣工の秋葉原ダイビルに産学連携機能を設けアキバテクノクラブが設立され、国と企業の研究機関や大学や産学連携ベンチャー、知財関連の20法人が入居しました。
 そして、ほぼ同時期の2005年8月にはつくばエクスプレスも開通し、「技術をつくるツクバ、あきなうアキバがつながった」状態となりました。最近はツクバとアキバに、東大キャンパスのあるカシバ(柏の葉)が加わり「さんば」となり、さらに、研究施設があるオダイバ(お台場)が加わり、「よんば」となり、いよいよ産学連携の「場」ができつつあります。
 まさに産学連携の拠点ですが、秋葉原の街づくりにプロデューサーとして心がけた点は、「ビル栄えて、まち一層栄える」ことと「歴史と資源と近未来を踏まえた、まちづくり」です。交通の利便性やIT産業の集積、先端技術と親和性の高い秋葉原を含む知の三角形(神田:文科系、上野:商業系、秋葉原:理科系)、また都心開発の三角形(丸の内:ビジネス都心、六本木:文化都心、秋葉原:テクノロジー都心)というアキバの特徴を踏まえつつ、IT部品からフィギュアまで「徹底集積」と江戸情緒も残る「新旧融合」、パーツ屋から量販店まで「多層構造」の街としてアキバの魅力を分析しました。そして、地形的な特徴も加えて、ランドマークとしてのコンセプトの設定を行いました。
ただ、残念なことにテクノビジネスの拠点はアキバを離れつつあり、シリコンバレーと上海とインドのバンガロールに代わりつつあります。
 アキバの歴史は、ラジオ街から電化製品街、パソコン街と「交替」ではなく「積層」の「発展」と「成長」が並列する街と言えます。まさに、知と文化の拠点であり、人々の交流拠点であり、トレンドの集積と発信拠点であるこの街で、産学連携を進めるべく、「アキバテクノタウン構想」を立ち上げ、アキバテクノクラブを中心に様々な活動を行ってきました。今後は「イノベーションのアキバ」をテーマとして、テクノロジーとコンテンツの融合する拠点としてのアキバ、また、インキュベーション(実証フィールド)、プロモーション(産直市場)、エデュケーション(産業支援人材育成)の分野における拠点の拠点としてのアキバという方向性の中での諸活動を考えています。

【写真をクリックしていただくと基調報告の様子がご覧いただけます】

特別講演

◆特別講演1

『新世代ネットワーク構築への道』
独立行政法人情報通信研究機構 理事長 宮原 秀夫氏


 これからの50年に向けてICTの果たす役割を考える上で、インターネット技術であるIP(Internet Protocol)の次なるネットワークと思われる「新世代ネットワーク」(New Generation Network)について、ご講演いただきました。

 講演は第4回環境アセスメント会議での資料を引用して、地球の温度上昇が過去50年間で前世紀の2倍になっているという事実、北極圏の氷の解凍により進行する海面上昇の状況や発展途上国の人口増加に伴う雇用創出や教育問題など、自然資源を含む地球環境の直面する課題に対して、サスティナブル社会を求める上で、ICTが課題解決の必須な基盤技術となるという地球規模の観点からスタートしました。

 ネットワークという観点からみても、インターネットは1969年にUCLAやユタ大学など4つのノードから誕生し、今や5億台のホストがつながっているという状況を当時は誰も想像できなかったであろうし、携帯電話にいたっては、わずか20年で固定電話の加入数を越えたという状況が、新しい課題を生み出しています。例えば膨大な情報の中から正確な情報にアクセスすることが難しくなり、アクセスできる人とそうでない人の情報格差が広がりつつあり、この格差の解消が急務です。元来インターネットは、比較的収入が高く英語を母国語とする人達を中心として発展してきた文化だが、今後のキーテクノロジーであるICTを支えるのが新世代ネットワーク(NWGN:New Generation Network)であると確信しており、災害緊急時の対応やグリーンICTという観点からエネルギー消費への対応などの社会的かつ技術的に盤石なインフラとして設計され、限られた人達だけではなく広く情報格差の解消を図りながら、より平等な文化を生み出すものでなければならないと考えます。

 そこで情報通信研究機構では、まさに産学連携のもと、企業のエンジニアと新世代ネットワークのプロジェクトを立上げ戦略をまとめました。従来のIP技術である次世代ネットワーク(NXGN:Next Generation Netowork)の方向性とは別に、従来の概念にとらわれずに未来型のインターネットと位置づけます。(もちろんいままでのIP技術を否定する訳ではなくNWGNの一部に含まれます。)そして、様々なトラフィックが増加すると思われる2020年に向けて、EUやアジアの国々とコラボレーションすることでNWGNを研究開発する予定です。最近「新世代ネットワークにおけるビジョンと技術要件」(Diversity and Inclusion Networking the Future)を策定し、そのコンセプトを元にNWGNのアーキテクチュアを考える「AKARI Architecture Design Project」   (http://akari-project.nict.go.jp/)を立ち上げました。

 また、グローバルネットワーク自体を研究対象とした時、人類として設計可能範囲を超えているとも考えられ、新しい「ネットワーク科学」としてアプローチするべきなのは、生物の生態ではないかと、生物ネットワークと情報ネットワークに見る共通性質として「べき乗則」を導き出しました。例えば、蛍の発光は集まると同期する性質があり、ヘリコプターから農場へセンサーを蒔いた時など同期によりまとまったデータ収集が可能となるなど、パルス結合振動子モデルとしてセンサーネットワーク制御技術に応用できるという生物の生態からヒントを得たネットワーク技術を考えることもおもしろいと思われます。そういうところから産学連携も生まれてくれればおもしろい成果につながるのではと締めくくられました。

【写真をクリックしていただくとご講演の様子がご覧いただけます】

特別講演

◆特別講演2

『イノベーションハブをめざす産総研』
独立行政法人産業技術総合研究所 理事長 野間口 有氏


 講演は、産業技術総合研究所の概要や連携施策、イノベーション環境を踏まえた産学官連携の今日的意義、そして最後にアキバへの期待、といった流れとなりました。

 産総研の概要としては、オープンイノベーションのハブを目指して4月から第三期に入りますが、産学官連携が果たす役割は大きいと思っています。すでにつくば拠点を中心に全国9つの研究・連携拠点があり、世界レベルの研究はもとより地域の産業界や大学との連携を含め地域貢献も行っています。約7割がつくば拠点に集結して、約3割が地方に分散している状況です。
 産総研の設立目的は、科学技術の基礎研究も行いながら、成果については実社会へ貢献するべく普及に努めることとされていますが、研究分野としては、「ライフサイエンス」「情報通信・エレクトロニクス」「ナノテクノロジー・材料・製造」「環境・エネルギー」「地質」「標準・計測」の6分野があり、その中でも基礎研究から応用、実用化までを一貫して取り組む「本格研究」を48の研究ユニット(H21.4.1現在)にて行っています 。

  産学連携の推進については、産学官連携推進部門が窓口となり、これらの研究ユニットや知的財産部門、ベンチャー開発センター等と連絡をとりながらさらに大学や産業界や地域経済社会と連携することにより、知財戦略策定や権利化、ベンチャー起業化促進などを行っています。連携の成果の1つとして、毎年1,000件程度の特許を取得していますが、すでに保有している特許も含めて、企業等が使いやすい様リーズナブルなライセンスの仕組みを作っています。共同研究についても、研究装置等提供型、人材移籍型、FS連携(お試し連携)といった新たな共同研究推進制度を設置すると共に、マッチングファンドの制度により共同研究を強力に加速しています。(平成20年度の約3,000件の共同研究のうち、60%が企業、40%が大学等との共同研究となっています)

 具体的な共同研究事例としては、情報セキュリティ研究センターがIT分野のソフトウェア、ハードウェア、ネットワークの情報セキュリティの高度化、評価、および基盤技術の確立などをテーマに、ここ秋葉原ダイビルを拠点として、情報通信研究機構や情報処理推進機構や東京大学などと連携しながら共同研究を行っています。また、つくばを拠点に、ネットワークフォトニクス研究センターがNEDOプロジェクトである「次世代公立ネットワークデバイス技術」の中で、NTTや富士通研究所や古川電工、早稲田大学などと連携して、超低エネルギー光パスネットワーク技術の共同開発を行っています。そして、今年の夏、秋葉原でこのプロジェクトの中間報告として、情報通信研究機構にもご協力をいただいて、スーパーハイビジョンの映像を送受信して低エネルギー化の実証実験を行う予定です。

 次に、産学官連携の今日的意義ですが、産総研の立場でも、長年企業でR&Dを見てきた立場でも産学官連携は重要だと考えますが、企業インフラの改善・改革や国際標準への取組など今日のイノベーション環境に答える取組が必要で、そのためには産官学それぞれが、利益確保の「産」と学問的探求を行う「学」と社会の要請を担う「官」というお互いの立場を理解しつつ、オープンイノベーションを行うべきだと思っています。ちなみに、産官学の連携の歴史は古く、明治初期から行われておりましたが、今も昔も自分の研究成果を世界に広めようという意欲が一番重要だと思います。日本の産業界も振り返っても、パナソニックもトヨタもベンチャー的、産学官連携的にスタートしています。ただ「産学官連携」という言葉としての普及は新しく、1996年以降活発に使用されています。

 そして、アキバへの期待として、多様な技術やニーズや人材が集積していることを気づく場としても意義があり、また異文化・異業種交流の坩堝として、イノベーション創出および実証実験の場としても魅力的であり、活用していきたいと思っています。
 最後に、アキバテクノクラブへも異文化・異業種の交流の密度を上げていただき、新しい成果がここアキバから生まれ、世界へ広がっていくように期待しています、と激励のお言葉をいただきました。


パネルディスカッション

◆パネルディスカッション
『事業で勝てるイノベーションの構築に向けて』
パネリスト
 独立行政法人情報通信研究機構 理事長  宮原 秀夫氏
 独立行政法人産業技術総合研究所 理事長 野間口 有氏
モデレーター
 「レビュー&プロモーション2010」実行委員長兼アドバイザー
 東京大学 特任教授           妹尾 堅一郎氏


 妹尾実行委員長より、まず両理事長の特別講演でのポイントと思われる次の点についての話題からスタートしました。即ち、「宮原理事長の2つのご提言、新世代ネットワークへの呼びかけと、もう1つ生き物に学ぶという観点が大変おもしろく、分野ごとの互学互習の時代になったことを感じ、新しいイノベーションを行う時、従来の縦割り分野だけでは限界があるとのご示唆をいただいたものと受け止めました。また野間口理事長より15の機関が統合されて10年が経過し、相互創発が始められるかということに対して、産学連携をキーにどう舵取りするか基本的なお考えを伺いました。」

 そして、ディスカッションに先立ち、妹尾実行委員長より「イノベーションに対する2つの考え方として、イノベーションはインプルーブメントという改善やモデル錬磨ではないということと、イノベーションはインベンションという発明だけで起こるものではなく、社会に普及定着することがイノベーションとするならば、イノベーションモデルはかなり変わってきており、まさにモデル創新ではないか」と提起されました。その提起をもとに本イベントのテーマである「イノベーションは産学連携を誘発できるか」について、ディスカッションが始まりました。

  宮原理事長より「イノベーションの定義付けよりも昔から自然な形で連携が生まれていた様に、産学連携は制度に縛られない自由度のある環境がまず必要」とのご発言があり、冒頭からスリリングな展開にシナリオのないパネルディスカッションであることを実感された方も多かったのではないでしょうか。
 野間口理事長からはインプルーブメントも必要でイノベーションと分けずに、全従業員ができるインプルーブメントに対して、一部の人しかできないイノベーションに全員参加する重要性についてお話があり、「日本も1985年ぐらいにアメリカの様に事業戦略と知財戦略がリンクして頑張っている産業分野もある」とのご発言に対して、妹尾実行委員長より「国際シェアが取れているのはデジカメぐらいで、特許件数38万件弱の世界2位でありながら、IMD(国際経営開発研究所)の国際競争力評価は世界20位で、科学技術の総合力は世界2位という現状について、技術を活かす力がないから!」と警鐘を鳴らされました。

 宮原理事長からは、自虐的にならずにより元気になるムードづくりと上昇志向が大切だが、人材育成という面では、教育の問題もあると指摘されました。技術者は自分のレイヤーだけ研究する傾向があるが、コンセプトをまとめあげ全体のシステムデザインができる人材が求められ、異分野融合でクリエーターやテクノロジストがコラボレーションして使いやすくてデザインのいい製品が創られるべきであり、アキバがそういうエンジニアを育てる場になることへの期待を示されました。

 次に同じ独立行政法人としての官官連携については、両理事長から領域のクロスはあるが、複眼的な見方ができるのでネットワークアーキテクチュアの分野など重複しても協調しながら競争すべきで、情通研はフラッグシップとしてロードマップを創って大学や企業も分業するというしくみを考えており、産総研は安全対策などを検証するという公的機関の役割も担いながら産学連携のハブとして位置づけたいと方向性を語られました。

 また標準と知財のマネージメントについて、特許を出願するのではなくノウハウ取得で隠した方がいいものもあるという妹尾実行委員長の指摘に対して、野間口理事長はICT分野で負けるのは我が国ICT技術への過信であって、業界としては国際標準の必要性をやっと感じ始めたぐらいとの認識を述べられ、産総研は知財を重視しているが、活用する時は公的機関として対応しているとの説明がありました。

 そして最後に産学官連携へのエールを両理事長からいただきました。宮原理事長からは日頃のコラボレーションが大切という人間味あふれる産学官連携を提唱いただき、野間口理事長からはイノベーションの推進エンジンとしての役割を期待され、企業や大学では組織を超えたオープンイノベーションであり、社会全体では文字通りのオープンなイノベーション=産学官連携を提唱いただきました。
  さらに妹尾実行委員長より、「イノベーションモデルがイノベーションしたことに気づきましょう!」という提言と、「産学連携はシーズとニーズのマッチングの時代ではなく、シーズをニーズ化する、もしくはニーズをシーズ化する必要性から研究機関など産学官連携すべきである」との期待を語られ、日本は元気になると思っていて、中小企業やベンチャーは頑張れば世界に羽ばたけるというビジネスチャンスが変わってきた時代の中、「アキバを拠点とした産学連携頑張っていきましょう!」と本音で繰り広げられたパネルディスカッションを締めくくられました。

【写真をクリックしていただくとパネルディスカッションの様子がご覧いただけます】

インデクショング&デモ

インデクシング

1分間のプロジェクトPRにドキドキ!


 今年で5回目を迎えるインデクシングでは、昨年を越える33のプロジェクトの発表が行われ、アキバテクノクラブメンバーにより、ICT技術をはじめとして、ロボット・医療・福祉などの幅広い分野の最新の研究や取り組みが紹介されました。たくさんの聴衆が見守る中での、毎年ドキドキ・ハラハラの1分間インデクシングですが、5回目を迎える今回はほとんどの方が落ち着いて発表されていました。このような発表形式も定着してきたということでしょうか?
 また、このインデクシングに関連するデモンストレーションもホワイエ側のスペースで行われており、インデクシングで興味をもった来場者が熱心に説明をきく場面もあり、アキバテクノクラブメンバーの研究成果・活動を広く知っていただくよい機会になったようです。

【写真をクリックしていただくとインデクシングとデモの様子がご覧いただけます】

拡大交流パーティ

◆拡大交流パーティ

 今年もカラフルでかわいらしくつくばの食材によるお料理が並ぶ中、拡大交流パーティが始まりました。
株式会社フジキンよりチョウザメを購入させていただき、マリネのお鮨として蘇りました。
 デモンストレーションやASIMOの前にも人々の輪ができ、プレゼンテーションも交流の輪も広がりました。 
 そして、神田明神の清水禰宜も見守る中、毎年恒例の神田一本締めにて拡大交流パーティもお開きとなりました。

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