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  2015年度第3回アキバテクノクラブオープンセミナーを開催しました
               


講演の様子

2015/7/13 
2015年度第3回アキバテクノクラブオープンセミナー

 
講師:ジェフリー・シューメーカー氏
  /ニューヨーク市都市計画局 チーフ都市デザイナー

テーマ:
「ニューヨーク市都市計画局のパブリックスペース戦略」

逐次通訳:福岡孝則氏
    /神戸大学持続的住環境創成講座 特命准教授)     



■質の高い公共空間は1日にして成らず
 

 平成27年度第3回目のオープンセミナーは、ニューヨーク市で最初の歩行者空間デザインマニュアルの作成や画期的なアクティブ・デザインガイドラインの作成にも携わり、アーバンデザインでの優れた業績に対してMichael Weil賞など多数の受賞をされている、ニューヨーク市都市計画局チーフ都市デザイナーのジェフリー・シューメーカー氏にお越しいただき、歩行者空間や民地の公園的利用を含む、ニューヨーク市の広義のパブリックスペースに関し、その具体的な空間やデザインマネジメント、組織構成、市民の視点に立ったパブリシティ戦略、事業手法等につき、お話をいただきました。

 はじめに、ニューヨークの都市形成に影響を与えてきた主要人物として、トップダウン的に都市の骨格形成へ寄与したロバート・モーゼス氏や、ボトムアップ的に市民目線でのパブリックスペース形成を唱導したジェイン・ジェイコブズ氏の紹介がありました。

 次に、現在の都市政策として、ブルームバーグ前市長時代に策定された、人口増加を受け入れつつ質の高い都市生活の実現を目指すニューヨーク市の長期計画である「PlaNYC」や、デ・ブラジオ現市長の下で策定された、成長力・平等・持続可能性・強靭性を標語とする都市施策としての「One New York」について、親しみの持てる数々のイメージ写真と共に概説いただきました。

 続いて、1961年より導入された公開空地制度であるPOPS(Privately Owned Public Space program)により創出されるパブリックスペースの質を高めるためのデザインガイドライン、地区の資産価値向上に向けたエリアマネジメント組織であるBID(Business Improvement District)等により申請・運営される暫定広場(Temporary Plaza)、各ロードサイド店舗等により申請・運営される路面駐車スペース活用型広場(Temporary Parklet)等、パブリックスペース形成の最近の動きについても、市の助成制度と共に紹介をいただきました。

(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)


■ 市民の目線からみんなでつくるパブリックスペース  

 更に、あらゆる市民にとって、市のあらゆる場所で、都市〜建物〜歩行者のあらゆるスケールで、質の高いデザインを提供することを目指す、ニューヨーク市都市デザイン室の取組みとして、歩行者の視点から見て質の高いパブリックスペースの形成から全てを始めるというデザイン哲学、市民・使い手・開発者等との質の高いコミュニケーションに向けた、わかりやすいビジュアルイメージの活用によるワークショップの開催や成果報告書等を通した精力的な情報発信、一人暮らし世帯の増加に合わせた実験的小型ユニットによる集合住宅プロジェクト等の創造性に溢れた事業の推進、健康増進型の歩きやすい都市形成を目指した、異部局連携を要する歩行者空間デザインマニュアルの作成等、多様な実践内容についてもご説明をいただきました。
 ヒューマンスケールを大切にして、みんなで住みよい街をつくってゆく心意気が伝わってまいります。

 最後に、廃線となった高架橋空間を公園化した話題のハイラインについて、一般市民の保全運動から全てが始まったこと、開発権移転等の事業手法の仕組み、近傍地区への活性化の波及状況等、知られざる逸話も含めてお伝えいただくと共に、かつての湾岸工業地区を公園化するブルックリン・ブリッジ・パークプロジェクトや、質の高いパブリックスペース形成に対して開発事業者に容積ボーナスを与える制度であるDIB(District Improvement Bonus)活用による、グランド・セントラル駅周辺のパブリックスペース整備プロジェクト等の最新動向についても紹介をいただき、会場一杯に、質の高いパブリックスペース形成に向けた希望が高まると共に、市民協働プロセスに係る斬新な手法、地価上昇抑制に向けた市の取組み、行政の都市デザインへの関与形態、といった興味津々な質問の数々が、その後の懇親会でも引き続き活発に成されました。

(写真をクリックいただくとご講演および懇親会の様子がご覧いただけます)



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