■ 次の一歩を踏み出すために
次に、小黒一正氏をモデレータとし、パネル討議が行われました。
はじめに、「地域包括ケアの現状をどう評価するか」とのお題に対し、パネラーからは、国により政策は掲げられているものの、各自治体、医療・福祉機関や住民に至るまで、「自分のこと」として十分に捉えられておらず、運用段階には至っていないなど、否定的な意見が太宗を占めました。
また、こうした状況における具体的課題として、介護人材等の人づくり、地域におけるリーダーの発見、取り残される地域への対応、といったキーワードが出されました。
次に、「人材確保と育成の課題は?」というお題に対し、パネラーからは、介護サービス提供に係る経営者の不足、あらゆる世代での介護教育の必要性、テクノロジー等による介護の効率性向上や予防医療等による介護需要の縮小といった観点が出されました。
また、「施設・まちづくりの課題は?」というお題に対しては、九州の中間市における地域包括ケア・コンパクトシティの先進事例を通して、30年といった長期間を要するまちづくりに対し、首長に加え、各ステージごとに適した司令塔が見いだされ、継続的に推進されることが重要との見解が示されました。
更に、「では、どうすればよいのか?」というお題に対し、パネラーからは、負担増を言い出せない政治を変える、各地域でハブとなる人材を見出す、スマート・シュリンクの先進事例をつくる、ケア・コンパクト的な街に住むなど、住むまちを自ら決めることで政治を動かす、といったご意見をいただきました。
加えて、医療福祉のまちづくりに対する住民の関与を高める方策や、広域的観点による施設配置の在り方など、会場からの興味深い質問を受けた密度の濃い意見交換も成され、その後の活気溢れる交流会へとつながってゆきました。
(写真をクリックいただくとパネルディスカッションの様子がご覧いただけます)
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