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  2018年度第1回アキバテクノクラブオープンセミナーを開催しました
               


講演の様子

2018/4/26
2018年度第1
回アキバテクノクラブオープンセミナー
 
【講師】小黒 一正 氏 /法政大学経済学部教授


【テーマ】日本政治・経済財政の展望と戦略
       〜アベノミクスは転換するか〜



■ 財政破綻の足音が間近に?  

 2018年度第1回目のオープンセミナーは、アバンアソシエイツによるアバンフォーラムとの共催形式で開催されました。講師である法政大学経済学部教授の小黒一正氏は、経済学者として、新聞や雑誌などのメディアで政治・経済の分析や政策の提言等をされており、この4月19日には共著『財政破綻後危機のシナリオ分析』が発刊されました。 当セミナーでは、財政や金融政策の現状と課題、「低成長」や「負の分担」を前提としたこれからの社会における政治の役割や社会保障の中長期的な方向性、アベノミクスの展望等について、わかり易く論じていただきました。

 はじめに、「財政の現状と課題」として、2018年度予算の内訳、社会保障費の膨張とその財源確保、名目GDP成長率の推移のほか、内閣府の中長期試算から読み取れる予測等の紹介をいただきました。政府債務残高の名目GDP等に対する比率が2017年度で約220%と、借金の返済だけでも大変な上、超高齢化社会の進展による社会保障給付費の増加で借金は更に膨らみ、生産年齢人口の減少等で名目GDPの伸びもそれほど期待できない中、日本の財政、社会保障はいったいどう改革するべきなのか。

 次に、「金融政策の現状と課題」として、日銀による物価上昇率2%目標の達成時期の6度目の先送り、量的・質的金融緩和の現状、消費者物価指数前年比の日米比較、デフレ脱却後の金利正常化の過程で発生する逆ザヤ等、日銀のバランスシート問題と損失リスクについても説明をいただきました。歴史的な低金利が続いているお蔭で、一般会計歳出における利払費が抑制され、財政赤字が比較的軽度で済んでいることは確かですが、その政策も転換せず、いつまで継続できるのか、注視する必要があることが認識されました。



(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)

講演・交流会の様子

■賢い分配に向けた政治の役割  

 更に、「政治の役割」として、成長と分配の「重心」の在り方、保険原理と税原理の切り分け、分権化と集権化、ICTの活用と簡素化等についてご説明をいただきました。
 2050年には人口の25%が75歳以上となり、大量の貧困高齢者の発生が予想される中、低所得者や本当に困っている人への再配分といったメインターゲットの絞り込みや、年金等の現金給付から、住宅を中心とする現物給付への移行等、社会的弱者がなんとか生活ができるレベルを確保できるよう、政治の役割が益々求められる社会となりそうです。

 最後に、「アベノミクスは転換するか」として、自民党の派閥の変遷を通した総裁選でのライバル候補の予測、消費増税によるインパクトの予測、データ産業革命やグリーン投資による日本改造計画といった「成長戦略」、集中と選択のための地方分権や社会保障の抜本的改革及び財政再建といった「分配戦略」についても、ご説明いただきました。
 総裁選各候補の得意分野に対し、永田町、行政、国民といった各ステークホルダーにより、各々異なる捉え方をする傾向にあること等、興味深い政治的御知見を垣間見ることができました。加えて、低金利下の好景気がある程度期待できる2020年東京オリンピックまでが、「日本に与えられた夏休み」とのことで、夏休みの宿題にしっかり取り組むことが肝要となりそうです。

 ご講演後の質疑応答では、消費税増税ショックの軽減策や、ベーシックインカム確保策の是非等、刺激的なご講演を受けた会場とのバラエティーに富んだ意見交換等が成され、その後の活気溢れる交流会へとつながってゆきました。



(写真をクリックいただくとご講演及び交流会の様子がご覧いただけます)

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