2019/12/16
2019年度第6回アキバテクノクラブオープンセミナー
(第82回アバンフォーラム)
【テーマ】
「日本経済・財政の展望と課題
?消費税10%以後の改革に向けて〜」
【講師】 小黒 一正氏/法政大学経済学部 教授
■課題先進国日本が抱える喫緊の課題は?
アバンアソシエイツとの共催で行われた本年度第6回セミナーは、アバンアソシエイツのシニアリサーチャーも兼務されている小黒一正教授に、ご専門の国家財務分野から見た本年度の我が日本政府の舵取りについて様々な統計データを駆使して総括いただくとともに、
今後の課題解決に向けての方向性を示唆いただく講演となりました。 小黒教授は、財政面から見た我が国の課題は、1.として「社会保障給付金の見通しと今後の改革特に医療制度改革の方向性」、2.として「景気循環と補正予算の効果」、3.として「2019年財政検証と年金改革の方向性」、4.として「データ産業革命と技術進歩のスピード」、を挙げられました。
■ 課題解決に向けての方向性は?
まず「社会保障給付金の見通しと今後の改革特に医療制度改革の方向性」については、将来の人口の推計からほぼ予想される事態、具体的には団塊の世代が75才以上になる2025年問題、65才以上の人口がピークを迎え働き手が減少する2025年問題、75才以上がピークを迎える2054年問題、に対GDP比率での社会保障給付金のあり方の限界、後期高齢者を対象にした医療制度に自動調整メカニズムの導入などの方向性を示されました。
「景気循環と補正予算の効果」については、景気は必ず循環するという過去の歴史的事実について統計データをもとに示され、総合経済対策として政府支出の増加額に対してGDPの増加額が上回らない現状を示され、補正予算とその効果の意味について解説されました。
「2019年財政検証と年金改革の方向性」としては、2019年度の財務状況をバランスシートで示され、経済前提特に生産性の上昇率をベースにしたシナリオについてその問題点を指摘されました。
所得代替率などの定義と考え方を現時点で少しでも改革しておかないと、将来に禍根を残すとも指摘されました。
「データ産業革命と技術進歩のスピード」については、5000万人のユーザーを集めるのに、航空機は68年、自動車は65年、Twitterは2年、ポケモンGOは19日という事例を挙げられて、技術スピードが物凄いスピードで進歩し、GAFAが個人情報を物凄いスピードで集めていく中で、我が国の産業がグローバル競争で勝ち残れるかを指摘されました。
最期に今後で起こるであろうシナリオとして、既に厚労省が発表している公立病院の再編成の問題、県レベルでの財政破綻の可能性の問題、など問題先送り体質の我が国が避けて通れない問題、地球温暖化などによる災害リスクと対策問題などについて話をされ、参加者の意識を喚起されました。
(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)
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