2021/3/10
2020年度 第3回アキバテクノクラブオープンセミナー
講師:小黒 一正氏 /法政大学教授、アバンアソシエイツ顧問
テーマ:「「コロナ禍でのマクロ経済・財政を巡る課題 ―危機が開く改革の窓―」」
■ コロナは日本経済にどのような影響を与えたか
講師の小黒教授は例年定点観測という形で、経済学者という立場からこれまでも我が国のマクロ経済や財政の状況を講演されてきたが、本年度はまず100年に一度の危機とも言えるコロナ禍における日本経済の概況を、経済財政の指数をもとに説明された。
まず製造業の生産性を示す鉱工業生産指数は景気回復に5年かかったリーマンショック時と比較しても落ち込みは少なくマクロ経済的には回復基調にありさらに株価も上昇しているが、一方で第3次産業を中心とした非製造業の生産低下が顕著であり、業界間で大きな格差が生まれていると指摘された。
■ 財政を巡っては何が問題か
財政ということでは、高齢化の進展に伴い社会保障給付費が大きく伸びる一方で、社会保険料収入は横ばいに推移しているため、拡大するその差額を国や地方の負担で賄っている。社会保障給付費は今後も増加を続けるので、税収や社会保険料収入といった収入面では我が国が今後もGDPプラスの経済成長を続けられるか、労働力を伸ばし生産性を高められるか問題であり、支出面では社会保障給付金の内訳である、年金・医療・介護・子育てといった分野での給付制度の見直しなども急務ではあるが、世代間の格差が生じることも危惧されると指摘された。
(写真をクリックいただくとご講演の様子がご覧いただけます)
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