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2022年度第3回アキバテクノクラブオープンセミナーを開催しました
               


講演の様子

2022/10/20                                  
2022年度第3回アキバテクノクラブオープンセミナー
 
講師:脇坂真吏氏/株式会社AgriInnovationDesign
テーマ:「先進事例から見た日本農業の未来
〜ヒルズマルシェ、東神楽町プロジェクトを参考に〜」

■ 日本の農業の課題と可能性  
 2022年度第3回アキバテクノクラブオープンセミナーは、「農業」を子どものなりたい職業1位にしたいという農業プロデューサー、脇坂真吏氏に登壇いただき、日本の農業について思うところをお話いただきました。
 脇坂氏は小学生のなりたい職業第1位を「農業」にするために、まずは、「農業の産業としての健全化」を図る必要があると考え、農業の周辺をサポートすることによって健全化に貢献しようと活動しています。
 農業プロデューサーとして活動される中で感じる<日本の農業の抱える課題>として
@ 農水省による過保護な取り組みにより、農家の新陳代謝がすすまない。
A 農協が時代にフィットできないことで生産者の成長を阻害している
B 餌・資源を輸入に依存しているため、輸入できなくなったときに農業に支障をきたす危険性
を上げられました。

一方、<大きな可能性>として、
@ 流通技術力向上による輸出事業の可能性
(例)日本で出荷されたキャベツが1か月後にシンガポールで1個千円で売られている。今までの日本人口1億人を対象にした農業から世界80億人を対象にした農業へ
A 多種多様な産業の農業介入による固定観念の打破
B 食糧危機後の消費者の気づき
反面的な言い方ではあるが、輸入依存により食糧危機が訪れたとき、日本人が農業に対してどう思うか。食糧危機が起きる前に気づいてほしいが、これが転換のきっかけとなると考えている
以上の3点に注目しているとのことでした。


(写真をクリックいただくと講演の様子がご覧いただけます)

講演の様子

■農業への気づき
  次に土から掘られたばかりのサツマイモの写真が映しだされ、ここから日本の農業の様々な歪みがわかると話されました。
 いわく、この写真に映っているサツマイモの2割しか正規の価格が付かず、後の5割は安値しかつかない。残り3割は廃棄となるというのです。
理由は、効率よく箱に収まる形のみが、流通に載せられるからということでした。
効率的に流通に載せるために選別したり、箱詰めしたり、洗浄したりといった出荷のための作業を農家が負担しており、形にこだわらず、品質が同じものなら同じ価格で売れれば、農家の収入はもっと上がるのに残念に思っているとのことでした。
農協や市場のネットワークで全国どこでも同じものを食べられるというのは素晴らしい仕組みではあるが、例えば、葉つき大根や三浦大根など流通に適さない形の野菜たちは、おいしさより流通を優先させた結果、消費者のもとに届かない現状があるとのことでした。
 そこで、脇坂氏としては、生産者に消費者との乖離、農業の価値、政策によるいびつな経済構造に気づいてもらうために次のような活動をされているそうです。
一つ目は、農業後継者で会社を立ち上げたこと。これにより、流通や販売を学び、消費者側から見た食料品と生産者から見た農産物のギャップを知ることを目的としています。
二つ目は、東神楽大学。地元民や、外から訪れた人が農家と触れ合い、違う視点をもつことで地域の価値に気づいたり、違う業種の人が出会うことで、「きっかけ」が生まれる場となることを期待しているそうです。
三つ目が、マルシェ。対面販売することで、生産したものの良さや、鮮度、料理の仕方などを消費者に直接伝え、生産者は自分たちの価値を知ることができる一方で、消費者も新鮮なものを教わりながら買うことで、おいしさは鮮度であることや、おいしい農産物に興味をもってもらうことができる。マルシェが生産者、消費者両者の向上の場になることを期待しているそうです。
四つ目はセミナーや視察。都会からきて、農家になった人や、女性の農業生産者など、まだ数は少ないが、とらわれない感覚で、新しい取り組みに挑戦している農家が増えつつあるそうです。とはいえ、まだまだ日本の農業には経営の視点が欠けていると思うことが多く、そこが備わってくると未来が見えてくると考えているそうです。

農業そのものではなく、農業の周辺をプロデュースすることで日本の農業に貢献している脇坂氏は今後、農業界だけで農業を考えるのではなく、他業種が農業に参画することで、農家だけの閉鎖的な仕組みに風穴をあけること、また農業者を減らして法人経営のサラリーマン農家を増やすことで、規模のメリットを生かした農業に変わっていくことを期待しているとのことでした。農業への熱い思いをもって活動している脇坂氏の今後に注目です。

(写真をクリックいただくと講演の様子がご覧いただけます)

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